都市部よりも歩かない......「クルマ依存」の地方で深刻な運動不足
都道府県別の平均歩数にはかなりの開きがある shapecharge/iStock.
<自動車の保有台数が多い地方ほど、1日あたりの平均歩数は少なくなっている>
コロナ禍で巣ごもり生活が続くなか、国民の運動不足が懸念されている。高齢者では、フレイル(身体の虚弱化)の進行も怖い。
政府は適度な運動の実施を呼び掛けているが、国民も危機感を抱いているようで、昨年に週1回以上運動・スポーツを実施した人の割合は59.9%と過去最高だったそうだ(スポーツ庁)。とくにウォーキングや体操などに取り組む人が増えている。
健康維持のためなら、無理をしてジョギングなどをする必要はない。ちょっと汗ばむ程度の速歩で事足りる。よく言われるように、歩くのも立派な運動だ。政府も国民がどれほど歩いているかに関心があるようで、厚労省の『国民健康栄養調査』では、成人男女の1日の平均歩数が算出されている。
2016年の資料によると、20〜64歳の1日の平均歩数(年齢調整値)は男性が7779歩、女性が6776歩となっている。男性のほうが外に出る機会が多いので、歩数は多いのだろう。都道府県別の統計表も出ていて、それによると東京都の男性は8611歩であるのに対し、筆者の郷里の鹿児島県は7296歩だ。これは肌感覚で分かる。地方では車を使う頻度が多いためだろう。
全都道府県を歩数で塗り分けた地図にすると、一定の傾向性が見えてくる。<図1>を見ていただきたい。
都道府県別に見ると、男性の1日の歩数は5647歩から8762歩までの開きがあり、歩数が多い県に色をつけると都市部が色に染まる。太平洋ベルト地帯で色が濃い。「都会は歩く」。この傾向が見受けられる。公共交通網が発達しているので、移動は電車やバスが主流だが、乗り換えや広い駅構内があり、意識はせずとも結構歩いているものだ。
対して地方はクルマ社会で、100メートルほどの距離しかないコンビニに行くにも自動車を使ってしまう。筆者は鹿児島と東京の生活を知っているので、このコントラストはよく分かる。筆者の親族は上京してくるといつも、「東京では歩かされる」と苦笑いしていた。