最新記事

ドイツ

メルケルのいないドイツ与党CDUは迷走中

A Body Blow To CDU

2021年3月25日(木)18時20分
スダ・ダビド・ウィルプ(ジャーマン・マーシャルファンド・ベルリン事務所副所長)

例えば、極右政党のドイツのための選択肢(AfD)は5年前、15%の得票率で同州議会の最大野党に躍り出たが、今回は10%を割り込み最大野党の座から転落した。

これは、AfDがドイツ全体で勢いを失いつつあることを示唆しているのかもしれない。党の内紛とコロナ禍で、AfDの看板政策である「反移民」のメッセージはインパクトを失った。ドイツ政府の情報機関が、AfDを正式に「極右の疑いがある組織」に指定し、監視対象としたことも逆風となりそうだ。

ただ、AfDがバーデン・ビュルテンベルク州議会選(と同時に行われた隣のラインラント・プファルツ州議会選)で、陰謀論の拡散と情報操作に力を入れたことは、長期的な影響をもたらしそうだ。

AfDに言わせれば、政府は国民の自由を抑圧する方法をいつも考えており、新型コロナはそのための口実だ。政府の接触確認アプリは感染拡大の追跡以外の目的で使用されていて、ワクチン接種は義務として強制される――。

こうした嘘または事実無根の主張を選挙戦で声高にまき散らしたことは、シュツットガルトから「クエルデンケン運動」と呼ばれる陰謀論勢力が広がる土壌をつくった。

クエルデンケンとは「型破り思考」という意味だが、実際に言っていることは陰謀論にほかならない。それが極右と反ワクチン派と「コロナなんて存在しない」と主張する人々、そしてロックダウン(都市封鎖)に不満を抱く商店主などから幅広い支持を集めるようになった。

ドイツの情報機関は国内での偽情報拡散だけでなく、外国の介入にも警戒している。EUの欧州対外行動庁は最近、ロシアによる偽情報拡散活動の最大のターゲットはドイツだと指摘している。

バーデン・ビュルテンベルク州議会選では、中国の影もちらついた。華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)がCDUの州大会のスポンサーになった一方で、FDPが孔子学院を通じた中国の影響力拡大に懸念を表明した(FDPの得票率は2ポイント上昇)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国、米関税で企業に緊急支援措置策定 米と交渉へ

ビジネス

総務省、フジHDに行政指導 コンプラ強化策の報告要

ビジネス

ECB高官、トランプ関税は世界経済の安定脅かすと警

ビジネス

英サービスPMI、3月52.5に下方改定 米関税や
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 10
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中