最新記事

中国

拷問を生き延びたウイグル人家族が、20年の沈黙を破って語った恐怖

ONE FAMILY AND GENOCIDE

2021年3月30日(火)11時15分
ズバイラ・シャムセデン(人権擁護団体ウイグル人権プロジェクト コーディネーター)

magSR20210330onefamily-2.jpg

2009年の騒乱で治安当局に立ち向かうウイグル人の女性(ウルムチ) GUANG NIU/GETTY IMAGES

グルジャ事件から24年。一連の残虐行為への説明責任は、一切果たされていない。実際、中国は今も90年代以降の抗議運動とつながりがある者を探し回り、グルジャ事件や2009年7月のウルムチ騒乱などの暴動に関わったとして数百万人を強制収容所に拘束している。

こうした弾圧は、中国が少しずつ組織的にウイグル人を地球上から(精神的にも文化的にも肉体的にも)排除しようとしている事実を裏付けている。

1月にアメリカが中国によるウイグル人弾圧をジェノサイド(集団虐殺)と認定したと聞いたとき、うれし涙があふれた。この認定はサリハのように苦しんできた女性たちに、いくらかの希望をもたらし、私たちに闘い続ける覚悟をくれた。

中国が新疆ウイグル自治区で行っていることを世界が無視するなら、虐殺を黙認することになる。同様の残虐行為がほかの場所でも行われることになるかもしれない。

アメリカはウイグル人の虐殺を認定するよう、他国にも促すべきだ。

そして、中国による残虐行為を生き延びた勇敢な女性たちを支援し、彼女たちの言葉を信じることが必要だ。彼女たちの物語は、国家による残虐行為に抵抗する上での強力な武器なのだ。

From thediplomat.com

(3月30日発売の本誌「共産党と闘うウイグル女性」特集では、中国による「非道」の実態と勇気あるウイグル女性たちの反撃をリポートする。虐げられてきた人々が今、声を上げ始めた。各国政府、そして中国進出企業は「虐殺」を黙認していていいのか)

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中