福島第一原発事故10年、担当相だった細野豪志氏の「反省」と「課題」
――原発事故の被害が多くを占める東日本大震災は、半分は人災ではないでしょうか。ここから学ぶべきことは多いし、忘れてはならないことも多い。
細野:津波の教訓も忘れてはいけないし、原発事故は何だったのか。そして学ぶべきことは何か。日米同盟も一度検証したく、磯部(晃一・元陸上自衛隊東部方面監)さんともようやく対談できました。戦後、経験したことのない国家的な危機だったので。
――処理水の問題はどうなるのでしょうか。
細野:総選挙までできないかもしれないと危惧しています。といっても、来年には参院選がある。福島県知事選もある。本当は去年がチャンスだったんです。安倍政権でやるつもりだったのが菅政権になり、これもできなくなっている。「やる」と決まっていただけに、現場には絶望感があります。
1つのやり方として、テスト的に放水するという手はある。きちんとモニタリングして、それを批判的な立場の人にも検証してもらう。ただ、今は政治マターになってしまって、パタッと動きが止まっている。
――震災と原発事故のことが半ば忘れられている状況が何とも残念です。
細野:10年はみんなが一度思い出す節目じゃないですか。ここで「これだけの課題がある」ということを再認識する。「復興が遅れている」と言われるけれど、私は必ずしもそう思っていない。10年前に大熊町に復興拠点ができるとは思ってなかったです。(原発対応拠点になっていた)Jビレッジがあんなにきれいに戻るとは想像できなかった。そういう意味では、よくここまで来たんです。そこをちゃんと評価すべき。そのうえで「残った問題がこれだけある」ということを明確にして、解決の機運を高める。(これからを)そんな10年にしたいです。
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