愛と悲しみのバレンタイン 花屋が語るコロナ禍のドラマ
ロサンゼルスの花屋「デビッズ・フラワーズ」で働くマリア・アルバレズさん(25歳)によれば、同店のマネジャーたちは、バレンタインデーの需要を理由に、葬儀用の生花を求める遺族の注文を断らざるをえなかったという。
「悲しくて、私たちも胸を痛めている。葬儀のための生花を用意できないと遺族に告げるのは本当に辛い」とアルバレズさんは言う。「おなじみの顧客も多い。家族が入院し、数日後に亡くなってしまった。その話を聞かせてくれた。彼らはとても傷ついている」と語った。
アルバレズさんは、悲しみに暮れる人々に、葬儀用の生花の費用を告げるのも辛いという。供給が滞り、需要が膨大なため、葬儀用の花輪の価格も、ほんの数週間のうちに85ドルから120ドルに上昇した。
「そういう家族の多くは、仕事も失っている。彼らにとっては大金だ。何とか元の価格で提供してあげたいと思うが、そうも行かない。今は仕入れ値も非常に高くなっている」とため息をついた。
想いを届けるビジネス
米国の生花産業をまとめる最大の業界団体である全米生花店協会によれば、国内で販売される生花の大半は、エクアドルとメキシコからの輸入品だ。
多くはオンラインで行われる生花の注文はここ数カ月で急増しており、サプライチェーンは逼迫している。全米規模で生花のオンライン販売を行っているファームガール・フラワーズの創業者であるクリスティナ・スタンベルCEOによれば、十分な量の生花を期日どおりに配達するための飛行機やトラックの余裕も不足してきたという。
ケン・フライタグさん(67歳)は、テキサス州オースティンで40年間、家族経営の生花販売を営んできた。フライタグさんによれば経営はおおむね順調だったが、今月は大変だったという。息子と娘、孫たちがCOVID-19に感染したというだけの理由ではない。
フライタグさんと約50人の従業員は、注文を受けた花に添えるカードを印刷する前に、誤りがないか読み合わせをする。
「多くが、お悔やみのカードだった」とフライタグさんは言う。「その家族に何があったかは理解できる。花屋というのは、想いを届けるビジネスなのだ」
(翻訳:エァクレーレン)
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