米中首脳電話会談を読み解く――なぜ「とっておきの」春節大晦日に?
2013年12月、訪中したバイデン副大統領(当時)と握手する習近平国家主席 Lintao Zhang-REUTERS
2月11日、バイデン大統領と習近平国家主席が電話会談した。両国の正式発表の相違にも問題があるが、あえて祝福ムード満開の春節大晦日に電話して「祝意」を示すこと自体からして対中強硬の本気度が疑われる。
なぜ祝福ムード満開の春節大晦日に?
日本時間の2月11日、バイデン大統領がようやく習近平国家主席と電話会談をした。1月20日に大統領に就任して以来、「カナダ、メキシコ、イギリス、フランス、ドイツ、NATO、ロシア、日本、韓国、オーストラリア、インド」に次いで12番目の国になる。
ロシアや韓国よりも後にしたのは、一見、「どれくらい自分は中国を重要視していないか」、「どれくらいトランプ政権同様に対中強硬であるか」をアメリカ国民に見せるためだったと解釈することができる。いや、そう解釈してほしいと望んだが故に、ここまで中国の順番を遅らせたのだろう。
しかし挙句の果てに、結局は中国にとっての「おめでたい春節」除夕(大晦日)の日に電話するとは何ごとか。この日は中国人なら誰もが互いに最も祝福し合う日で、この日に「ご挨拶」されたら、喜ばない人はいない。
わざわざその日を選んで「春節のお祝いを先ず言う」という、「祝福の言葉」から電話会談が始まった。
そのことからして、何とも「対中強硬の本気度」が疑われるではないか。
案の定、バイデンの最初の言葉は「中国人民に丑年の春節のお祝いを申し上げるとともに、中国人民の繁栄と発展を祝福したい」だったと中国側は報じている。
習近平はそれに対してバイデンの大統領就任を再び祝福した上で、「中米両国人民の春節をお祝いし、丑年の吉祥を祈る」と返している。
さて、それでは会談内容に関する米中両国のそれぞれの公式報道を見てみよう。
アメリカ側の公式発表
アメリカ時間の2月10日、ホワイトハウスのウェブサイトは、以下のように米中首脳電話会談の内容を報道している。
1.バイデン大統領は、アメリカ国民の安全、繁栄、健康、生き方を守り、自由で開かれたインド太平洋を守ることを優先事項とすると断言した。
2.バイデン大統領は、 北京政府の強圧的で不公正な経済慣行、香港での取り締まり、新疆ウイグル自治区での人権侵害、台湾を含む地域でのますます強まる独断的な行動について、強い懸念を抱いていると強調した。
3.両首脳はまた、COVID-19パンデミックへの対応や、世界の健康安全保障、気候変動、兵器拡散防止といった課題についても意見交換をした。
4.バイデン大統領は、もしそれがアメリカ国民と同盟国の利益を促進する場合には、実用的で結果を重視した取り組みを追求すると決意表明した。
以上のことが淡々と短く書いてある。