最新記事

米中関係

米中首脳電話会談を読み解く――なぜ「とっておきの」春節大晦日に?

2021年2月12日(金)17時48分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

中国の公式発表

中国の場合は、もう尋常ではないほど華々しく報道し、それも中央テレビ局CCTVで速報を伝えた後、続けざまに人民日報や新華社あるいは再度詳細にCCTVが報道するなど、内容は中共中央と中央政府がオーソライズしてfixしたものを、一斉に流した。

最終的な形のCCTVの動画CCTVの文字版あるいは新華網などで全貌を見ることができる。その内容を以下にご紹介しよう。一部の美辞麗句は省略するが、言葉の端から発見できる真実もあるので、詳細に追ってみた。

一、 習近平は指摘した:過去半世紀以上、国際関係の中で最も重要な出来事は中米関係の回復と発展だ。その間、少なからぬ曲折や困難があったが、しかし全体的に見れば前進しており、しかも豊かな成果を収め、両国人民に幸せをもたらし、世界の平和と安定と繁栄をもたらした。中米両国は「和すれば互いに利を得、戦えば互いに傷つく」関係にあり、協力以外に選択はない。中米の対立は両国と世界に災禍をもたらす。

二、 習近平は強調した:中米関係は今まさに重要な局面に差し掛かっている。中米関係を健全で安定的に発展させることは、両国人民と国際社会の共通の期待である。あなたは「アメリカの最大の特徴は可能性だ」と言ったことがありますね(筆者注:2011年、バイデンが副大統領として訪中し習近平と会談した時に、習近平がバイデンに「アメリカを一言で定義するとどうなりますか」と聞いたことに対するバイデンの回答)。その可能性がいま、両国関係改善の方向に向いていることを希望する。米中両国は互いに衝突せず対立せず、互いに信頼し合って協力してウインウインの精神で進み、相違点をコントロールし、両国人民に真の実質的な利益をもたらすように努力したい。それがコロナウイルス肺炎を退治するためにも、また世界経済の回復と地域の平和安定を促進することにも貢献する。

三、習近平は強調した:中米はある種の問題に関しては異なる見解を持つことはあるだろう。しかし肝要なのは互いを尊重し、平等に対応し、建設的な方法で問題解決に当たることだ。両国の外交部門は双方の広範な問題と国際的な地域間の問題に関して意思疎通を行い、両国の経済、金融、法の執行、および軍隊などの問題に関しても、もう少し多く接触を図ることができる。中米両国は各種の対話のメカニズムを通して、互いに相手の政策や意図を正確に理解することが重要で、そうすれば誤解や誤判断を避けることができる。台湾や香港あるいは新疆問題に関する話は中国の内政問題であり、中国の主権と領土保全の問題だ。アメリカは中国の核心的利益を尊重し、慎重に行動しなければならない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中