最新記事

米ロ関係

バイデン政権、反政府デモ弾圧のプーチンを厳しく非難

Biden Admin Pressures Putin, Blasts 'Harsh Tactics' Against Protesters

2021年2月1日(月)13時40分
ベンジャミン・フィアナウ

ロシアの反政府活動家ナワリヌイの拘束に抗議するデモ参加者を警察は次々と逮捕した(1月30日、モスクワ) Maxim Shemetov-REUTERS

<ロシア外務省は「あからさまな国内問題への干渉」と反発>

ロシアで反政府活動家アレクセイ・ナワリヌイの拘束に抗議する集会やデモが各地で起き、1日で約5000人が逮捕された問題で、アメリカ政府は1月31日、「平和的な抗議運動の参加者」への支持を表明するとともに、逮捕者の即時釈放を求めた。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官はロシア政府に対し、各地で起きたナワリヌイ支持者のデモに対する厳しい締めつけや取り締まりをやめるよう求めた。

「アメリカはロシア当局が平和的な抗議運動の参加者やジャーナリストに対し、2週間にわたり過酷な戦術を取り続けていることを強く非難する」とブリンケンは31日、ツイッターで述べた。「改めてロシアに対し、人権を行使したために逮捕されたアレクセイ・ナワリヌイを始めとする人々の釈放を求める」

ナワリヌイはロシアのウラジーミル・プーチン大統領批判の急先鋒で、反政府勢力の指導者だ。昨年8月に何者かに毒物を盛られてドイツで療養していたが、1月17日に帰国。その直後に逮捕された。彼は自分に毒を盛ったのはロシア政府だと主張している。

だがロシア外務省はブリンケンの発言は「ロシアの国内問題への露骨な干渉」だと反論。また、デモ隊を支持することでモスクワ情勢の不安定化を狙っているとアメリカ政府を非難した。

電話首脳会談でもロシアを非難

「ロシアの国内問題に対するアメリカの露骨な干渉は、アメリカ政府の支配下にあるインターネット・プラットフォームによるフェイクニュースの『拡散』や無許可の行動の呼びかけと同様に間違いのない真実だ」とロシア外務省は31日朝、フェイスブックの公式ページに投稿した。「ブリンケン米国務長官が違法行為を支持したことは、アメリカ政府が背後で果たしている役割のさらなる証拠だ」

ロシア外務省は、1月6日に米連邦議会にドナルド・トランプ大統領(当時)の支持者が乱入し、5人が死亡した事件にも遠回しに触れた。また、アメリカを始めとする西側諸国の政府が自国の利益のために「ロシアを振り回し、混乱させている」ことを示すとする文書も投稿した。

ホワイトハウスのジェニファー・サキ報道官によれば、ジョー・バイデン大統領は26日に行ったプーチンとの電話会談で、ナワリヌイの釈放を求めたという。この会談は両首脳の「透明性と堅実なコミュニケーションを推進し続けること」を目的に行われた。プーチンはオバマ政権下で結ばれた新戦略兵器削減条約の5年間の延長に合意。バイデンはウクライナへのアメリカの支持を改めて示した。

また、電話会談でバイデンはナワリヌイの毒殺未遂事件についてプーチンを非難したとも伝えられている。ただしプーチンがどう反応したかは明らかになっていない。

ナワリヌイが率いる汚職追及団体は1月19日、プーチンが所有しているとされる「秘密の宮殿」と巨大な富に関するビデオを公開。再生回数は1億回を超えている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中