最新記事

アメリカ政治

一変したホワイトハウスの日常、規律と犬とコロナ対策

2021年2月1日(月)10時24分

米大統領の官邸兼公邸ホワイトハウスでは今月20日朝、バイデン氏が第46代大統領として着任する数時間前に、上級スタッフの事務所などが入るウエストウイング(西棟)の入り口にある守衛詰め所のデスクに透明なアクリル板が設置された。写真は25日、オーバルオフィスで、マスクを着用して執務にあたるバイデン大統領ら(2021年 ロイター/Kevin Lamarque)

米大統領の官邸兼公邸ホワイトハウスでは今月20日朝、バイデン氏が第46代大統領として着任する数時間前に、上級スタッフの事務所などが入るウエストウイング(西棟)の入り口にある守衛詰め所のデスクに透明なアクリル板が設置された。トランプ前政権からの変化を示す、小さいが注目すべき出来事だった。

新型コロナウイルス感染防止策はトランプ氏の任期最終年には軽視されていたが、バイデン新政権下のホワイトハウスでは日常生活の一部になるだろう。

「大言壮語」と「気まぐれ」は消失

ビジネスマンでテレビのリアリティ番組のスターだったトランプ氏の下で広まっていた「大言壮語」と「気まぐれ」は突然鳴りをひそめ、バイデン政権下ではマスク着用の義務化やメディア対応の刷新など、統率の取れた運営が戻った。

トランプ氏の大統領補佐官をかつて務めたボルトン氏はバイデン政権について「これが正常というものだ。ホワイトハウスを統率できない大統領はほかのことも統率できない。確かな事実だ」と述べた。

共和、民主両党から混沌状態と攻撃されたホワイトハウスの運営は一新され、代わりに規律あるメッセージ発信が重視され、リーク(情報漏洩)には距離を置く姿勢が広まった。

大統領は就任から100日間の「ハネムーン(蜜月)」期間はあまり批判を受けずに済むものだ。モーニング・コンサルト・ポリティカル・インテリジェンスの調査によると、有権者の56%が就任後数日間のバイデン氏の仕事ぶりを評価した。しかし支持率は急変し得る。

トランプ流を次々に撤回

ホワイトハウスでは日常的な事柄から深いレベルまで、無数の変化が起きた。南面に広がる広大な芝生の庭「サウスローン」には犬も戻ってきた。ブリーフィングルームでは再びメディア向けの説明会が定期的に開かれるようになり、質問が受け付けられ、データに基づいた回答がある。

バイデン氏自身、何よりもまず結束と礼節を訴えるメッセージを発している。

就任式では「私たちは互いに尊重と敬意を持って接することができる。私たちは力を合わせ、叫ぶのをやめて、気持ちを落ち着けることができる。結束がなければ平和はなく、残るのはいがみ合いと激しい怒りだ。進歩はなく、疲労困憊するほどの激高しかない。国はなく、ただ混沌(こんとん)があるだけだ」と述べた。

トランプ氏はワンマンショーのようにニュース発信を一人で支配し、激しく一貫性のないやり方でテーマをコロコロと変えた。バイデン氏のチームはほぼ毎日、特定のテーマを取り上げ続けている。バイデン氏は粛々と大統領令に署名し、トランプ氏の政策を次々に撤回している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

習主席、中国EU首脳会議の招請辞退と英紙報道 外交

ワールド

ケロッグ米特使の職務限定、ロシアが「ウクライナ寄り

ワールド

米がフーシ派に大規模攻撃 商船攻撃に強硬措置 31

ワールド

米、韓国を要注意国に 核武装論を警戒
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 2
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴された陸上選手「私の苦痛にも配慮すべき」
  • 3
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先史時代の支配者の実像とは?
  • 4
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「天然ガス」の産出量が多い国は…
  • 6
    エジプト最古のピラミッド建設に「エレベーター」が…
  • 7
    鈍器で殺され、バラバラに解体され、一部を食べられ…
  • 8
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 9
    自然の中を90分歩くだけで「うつ」が減少...おススメ…
  • 10
    ピアニスト角野隼斗の音を作る、調律師の知られざる…
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 3
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 4
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 5
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 8
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 9
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 10
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中