バイデン政権の核合意復帰をめぐり一触即発のイランとイスラエル
Iran Threatens to Take Out Tel Aviv if Israel Follows Through With New Military Plans.
イラン革命防衛隊が今年1月16日に実施した軍事演習 theiranporoject.com
<すぐには核合意に復帰しそうにないアメリカに苛立つイラン、イランの核武装を警戒するイスラエル、三つ巴の駆け引きはどちらに転んでもおかしくない>
イスラエル軍のトップが新たな作戦計画に言及してイランを威嚇した翌日、イランは計画が実行されたら、地中海に臨むイスラエルの2つの都市を壊滅すると宣言した。
イスラエル軍のアビブ・コチャビ参謀本部長は1月26日、テルアビブ大学国家安全保障研究所のスタッフに向けた演説で、ジョー・バイデン米大統領が2015年に米英など6カ国とイランが締結した核合意に復帰するか、制裁緩和などの措置を取ることは「作戦上、また戦略上まずい」選択だと語った。
イランは一貫して否定しているが、イスラエルはイランが核武装を目指しているとみており、アメリカが制裁を緩めれば、イランの核開発が加速すると、コチャビは警告した。
コチャビによれば、イランは配下の武装組織を通じて中東全域で工作活動を展開している。これを抑えるためにイスラエル軍は既にレバノンとシリアの親イラン派組織の拠点に空爆を実施しているが、アメリカの政権交代に伴う情勢の変化を分析し、新たな作戦計画が必要だと判断したという。
「既存の計画に加えて、新たに複数の作戦計画を準備するようわが軍に命じた。今後1年を目処に計画をまとめる。もちろん実行を決定するのは政府だが、即座に実行できるよう準備しておかなければならない」
ブラフだと反発
これにすぐさま反応したのはイラン軍のアボルファズル・シェカチ報道官だ。イランの半国営通信社タスニムの1月27日の報道によれば、シェカチはコチャビの発言を「心理戦」にすぎないと切って捨てつつ、こう警告した。
「(イスラエルが)ほんのわずかでも過ちを犯せば、われわれは可及的速やかに(イスラエルの主要都市)ハイファとテルアビブを完全に破壊する」
イランのハサン・ロウハニ大統領の首席補佐官を務めるマフムード・バエジも1月27日、イスラエルにはイランを攻撃する「計画もなければ、それを実行する能力もない」と断言した。
「口先ばかりで心理戦を仕掛けようとするシオニスト政権の高官がもてあそぶ脅し文句など、わが国民も中東の人々も聞き飽きている」
最近イラン軍と革命防衛隊の複数の部門が立て続けに実施した演習が示すように、「われわれは侵略や戦争する気はないが、(他国の攻撃に対しては)祖国を全力で防衛する」と、バエジは力を込めた。