米国や中国に対抗し、自立型の宇宙産業を志向する欧州の戦略
道路交通の効率化、温室効果ガス排出量の削減に活用
宇宙技術は、運輸や通信といった不可欠なインフラを支え、地球観測においても重要な役割を担う。欧州連合では、全地球航法衛星システム「ガリレオ」や欧州静止衛星補強型衛星航法システム「エグノス」が道路交通の効率化や温室効果ガス排出量の削減に活用されているほか、地球観測システム「コペルニクス」が2017年以降、気候変動のモニタリングを行っている。
欧州全地球航法衛星システム監督庁(GSA)のロドリゴ・ダ・コスタ氏は、1月12日、第13回欧州宇宙会議において、「ナビゲーションと地球観測とのシナジーによって、輸送が一歩進化するほか、農業にも同様に応用できる。これらの取り組みによって欧州グリーン・ディールにも大いに貢献できる」と述べている。
カーボンニュートラルなロケット打ち上げを計画
欧州連合では、欧州グリーン・ディールに則した宇宙開発の一環として、クリーン燃料の生産にも注力する方針だ。これまでも欧州のロケットの燃料には液体水素が用いられてきたが、液体水素の製造に大量のエネルギーを要するのが課題となっている。
独メディア「ドイチェ・ヴェレ」によると、仏航空宇宙関連企業アリアングループでは、2030年までにバイオマスから製造した水素を用いたカーボンニュートラルなロケットを打ち上げる計画だ。
ESA preview 2021