高所得者ほどコロナ感染対策を実施、米調査
コロナ感染予防で取る対策は、収入などで違いがあるかをアメリカで調査...... Prostock-Studio -iStock
<米ジョンズ・ホプキンス大学が、マスク着用や手洗いなど、コロナ感染予防で取る対策は、収入などで違いがあるかを調査した...... >
経済状況で感染予防策に違いが
新型コロナウイルス感染症の世界各地での感染者数データでおなじみの米ジョンズ・ホプキンス大学が、マスク着用や手洗いなど、コロナ感染予防で取る対策は、収入などで違いがあるかを調査した。このほど公開された結果によると、所得が多い方が感染予防策を取る傾向が高かったことが分かった。論文は人口経済学の専門誌ジャーナル・オブ・ポピュレーション・エコノミクスに掲載されている。
同大学が今回の調査で使用したデータは、米コーネル大学のミシェル・ベロ教授などが昨年4月15〜23日に、米国、英国、イタリア、中国、韓国、日本の6カ国で各1000人を対象に行った調査のうちの米国1000人分。実施したのはカリフォルニア、フロリダ、ニューヨーク、テキサスの4州で、人種比率などは同国の人口に沿ったものだという。
今回の分析で米国を選んだ理由は、新型コロナについて全米での一貫した政策がなく州ごとの対応になっていることや、地域によって感染状況が大きく異なること、社会経済が不均衡であることなどから、個々人がそれぞれどう対応しているかを調べられるためだと調査チームは説明している。さらに、経済の不均衡は他の国にもあるため、経済状況の違いによる感染予防策の違いなどについて、他国も本調査から学ぶことができるとしている。
米国ではちょうど昨年4月、新型コロナの感染者数が爆発的に増え始めた。こうした状況の中で、「手を洗う」「食事に気を使う」「屋外/屋内の場所に足を運ぶ」「家族や友人宅を訪ねる」といった15種類の行動様式が、パンデミック(世界的な大流行)の前、パンデミック開始時期、パンデミック開始から数週間後、の間にどう変わったかを聞いた。
高所得者は感染予防策を取る確率が54%アップ
パンデミックに際して、何らかの感染予防策を講じているかとの問いに対し、回答者の約88%がしていると答えた。年収別に回答者を5つのグループに分け、もっとも高所得である年収23万ドル(約2390万円)程度の人たちを、もっとも低所得な1万3000ドル(約135万円)程度の人たちと比較した場合、高所得の人たちは、感染予防策を講じる傾向が最大で54%高かった。
さらに、パンデミックに伴い、1.何かしらの感染予防策を取るようになった、2. 対人距離を取るようになった(公共の場を避ける、家族や友人宅へ行くのを避ける、外出を減らすなど)、3. 手洗い・マスクをするようになった、の3つに分けた。これらの質問は、感染予防策をコスト面から見るもので、比較的に、2はコストがかかり、3は安価で実行できるものだ。