高所得者ほどコロナ感染対策を実施、米調査
年収の高いグループの人たちは低い人たちと比べ、1で13%、2で32%、3で30%、それぞれ実施する傾向が高かった。また、収入が高い人の場合、在宅ワークに切り替えることができたことができたと答えた人が多かった。
出勤し続けなくてはならなかった人と比べ、在宅ワークに切り替えることができた人は、対人距離を確保できる確率が24%高かった。つまり、在宅ワークができるか否かが、対人距離を確保できるか否かの予測因子になったと調査チームは分析している。
一方で収入が低い人たちは、在宅でできる仕事ではないなどにより、パンデミックが原因で失業したり収入が減ったりが多かったことが分かった。住環境についても、収入が低い人は、庭のような屋外の空間がないケースが多いために、対人距離を取りにくいことが分かった。屋外スペースが使用できる住環境に住んでいる人は、対人距離を確保できる確率が20%高かった。
調査チームは、こうした原因により、低所得者層が対人距離の確保に苦労し、パンデミックが長引いている可能性があるとしている。調査チームのニック・パパジョージ准教授は、「快適な住環境でなければ、外出の頻度が高くなるのは驚きではない」と話し、こうしたデータをもとに、パンデミック中は住宅密集地に都市公園を作るなどの政策を考える必要があると説明している。
女性の方が対人距離を確保する傾向に
調査チームは他にも、性別や年齢、人種、居住地(州)別の分析も行ったが、感染予防策を講じるか否かについては、大きな違いはみられなかったという。
ただし、対人距離の確保については、男性よりも女性の方が取る傾向が23%高かった。調査チームはこれについて、パンデミックにより女性が家庭にとどまり従来的な「人の世話をする役割」を担う一方で、男性は外で働き対人距離が確保しにくいケースが多くなっているのではないかと分析している。
チームはまた、糖尿病や高血圧、心臓病、ぜんそく、アレルギーといった基礎疾患の有無と感染予防策の関係についても調べたが、目立った関係性はみられなかったという。
チームは今後この調査をさらに広げ、昨年5月のジョージ・フロイドさん死亡事件をきっかけに全米に広がったBlack Lives Matter運動などの活動が、パンデミック中の行動にどう影響したや、パンデミックの依存症への影響などを調べたいとしている。