最新記事

感染予防

高所得者ほどコロナ感染対策を実施、米調査

2021年1月19日(火)16時45分
松丸さとみ

年収の高いグループの人たちは低い人たちと比べ、1で13%、2で32%、3で30%、それぞれ実施する傾向が高かった。また、収入が高い人の場合、在宅ワークに切り替えることができたことができたと答えた人が多かった。

出勤し続けなくてはならなかった人と比べ、在宅ワークに切り替えることができた人は、対人距離を確保できる確率が24%高かった。つまり、在宅ワークができるか否かが、対人距離を確保できるか否かの予測因子になったと調査チームは分析している。

一方で収入が低い人たちは、在宅でできる仕事ではないなどにより、パンデミックが原因で失業したり収入が減ったりが多かったことが分かった。住環境についても、収入が低い人は、庭のような屋外の空間がないケースが多いために、対人距離を取りにくいことが分かった。屋外スペースが使用できる住環境に住んでいる人は、対人距離を確保できる確率が20%高かった。

調査チームは、こうした原因により、低所得者層が対人距離の確保に苦労し、パンデミックが長引いている可能性があるとしている。調査チームのニック・パパジョージ准教授は、「快適な住環境でなければ、外出の頻度が高くなるのは驚きではない」と話し、こうしたデータをもとに、パンデミック中は住宅密集地に都市公園を作るなどの政策を考える必要があると説明している。

女性の方が対人距離を確保する傾向に

調査チームは他にも、性別や年齢、人種、居住地(州)別の分析も行ったが、感染予防策を講じるか否かについては、大きな違いはみられなかったという。

ただし、対人距離の確保については、男性よりも女性の方が取る傾向が23%高かった。調査チームはこれについて、パンデミックにより女性が家庭にとどまり従来的な「人の世話をする役割」を担う一方で、男性は外で働き対人距離が確保しにくいケースが多くなっているのではないかと分析している。

チームはまた、糖尿病や高血圧、心臓病、ぜんそく、アレルギーといった基礎疾患の有無と感染予防策の関係についても調べたが、目立った関係性はみられなかったという。

チームは今後この調査をさらに広げ、昨年5月のジョージ・フロイドさん死亡事件をきっかけに全米に広がったBlack Lives Matter運動などの活動が、パンデミック中の行動にどう影響したや、パンデミックの依存症への影響などを調べたいとしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米停戦案「現状のままでは受け入れ不可」=ロシア外務

ワールド

米下院民主議員、ケネディ厚生長官を調査 鳥インフル

ビジネス

米建設支出、2月は前月比0.7%増 予想上回る

ワールド

米民主党主導州、トランプ政権を提訴 医療補助金11
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中