無邪気だったアメリカ人はトランプの暴挙を予想できなかった
WE CANNOT BE COMPLACENT ANYMORE
もう、お分かりだろう。憲法を守るのは就任式で「憲法を守る」と宣誓した大統領の役目だが、もしも望むなら、その大統領自身が憲法を破ることもできるのだ。
メリーランド大学のマイケル・グリーンバーガー教授によれば、大統領がトランプ以外の人物であったなら、速やかに州兵が出動し、「誰も議事堂に近づけないように」していたはずだ。
こうなるとトランプは反乱教唆で訴追される恐れがあり、それを避けるために自分自身への恩赦を発令する可能性もある。
一方で2度目の弾劾裁判で罷免される可能性もあり、憲法修正25条(副大統領と閣僚の過半数が大統領は職務遂行不能だと議会に通告した場合、副大統領が職務を代行する)が発動される可能性もある。
共和党内にもトランプを見限る動きがある。上院共和党を率いるミッチ・マコネル院内総務は言ったものだ。「彼らはわが国の民主主義を妨害しようとしたが失敗した。この未遂に終わった反乱は、議会の責務がどれほど私たちの共和国のために重大であるかを思い知らせてくれた」と。
前出のグリーンバーガーも「大統領自身が反乱を扇動するのは想定外だった」と言う。その想定外のことが起きてしまった。
もう、無邪気は許されない。
<2021年1月19日号「トランプは終わらない」特集より>
(トランプ自身、また「トランプ現象」はこれで終わりを迎えるのか――。本誌では、連邦議会占拠事件が浮き彫りにした「欠陥」、今後のアメリカに残す「爪痕」について特集を組んでいます)
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