最新記事

米議会占拠

【現地ルポ】民主主義の砦が汚された、アメリカの一番醜い日

TRUMP RIOTERS STORM CAPITOL

2021年1月9日(土)17時10分
ジャック・デッチ、エイミー・マッキノン、ロビー・グレイマー、コラム・リンチ (いずれもフォーリン・ポリシー誌記者)

連邦議会議事堂はトランプ支持者と警官隊との衝突で大混乱に陥った MOSTAFA BASSIM-ANADOLU AGENCY/GETTY IMAGES

<敗北を認めないトランプの支持者が議事堂に乱入、催涙ガスがまかれ銃撃で死者まで出た騒乱の一日>

(本誌「トランプは終わらない」特集より)

アメリカ合衆国の歴史における大きな汚点として刻まれることになる光景だった。

アメリカの民主主義の砦(とりで)とも言える首都ワシントンの連邦議会議事堂。そこへドナルド・トランプ大統領の支持者がなだれ込んだ。
20210119issue_cover200.jpg
議会ではジョー・バイデン次期大統領の勝利を承認する手続きが行われており、トランプ支持者はそれを阻止しようとした。任期終了間近のトランプは「選挙は盗まれた」と、根拠のない主張を繰り返していた。

トランプ政権とワシントン市当局は、暴徒鎮圧のために州兵数千人を動員。ホワイトハウスのケイリー・マケナニー報道官は6日午後、州兵部隊が「他の連邦治安維持機関」と共に到着するとツイートした。ナンシー・ペロシ下院議長とワシントンのミュリエル・バウザー市長の要請を受け、コロンビア特別区の州兵1100人が総動員されて議事堂に派遣されたと報じられた。

ワシントンの西に隣接するバージニア州のラルフ・ノーサム知事も、自らの指示で州兵200人がワシントンに向かうと発表。だが、それ以外にどの部隊が到着するのかは明らかではなかった。

国防総省のジョナサン・ホフマン報道官は声明の中で、クリストファー・ミラー国防長官代行が議会指導部と接触しており、ライアン・マッカーシー陸軍長官はワシントン市当局と協力して対応していると語った。「治安機関の対応は司法省が主導する」と、ホフマンは断言した。

magw210109-riot02.jpg

大混乱のせいで気分を悪くして横たわる議員 TOM WILLIAMS-CQ-ROLL CALL, INC/GETTY IMAGES

バイデンは地元デラウェア州からの演説で、議会占拠と暴動を激しく非難した。「これは抗議活動などではなく、反乱だ」と、彼は言った。

「私たちの民主主義は、近現代に経験のない前代未聞の攻撃を受けている」と、バイデンは続けた。「力を合わせれば、できないことはないはずだ。今日のこの惨状を目の当たりにして、私たちは痛感した。共和党も民主党も、それ以外の独立派も、団結しなくてはならない。それがアメリカ合衆国だ」

そしてバイデンは「トランプ大統領よ、責任ある態度を示せ」と呼び掛けた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

サムスン、第1四半期のAI半導体低迷を警告 米の対

ワールド

ガザ検問所に米退役軍人配置へ、イスラエル・アラブ諸

ワールド

米レーガン空港、ヘリとのニアミス事案頻発 80年代

ビジネス

コマツ、今吉専務が社長就任へ 小川社長は会長に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 10
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中