「家族の同性愛を受け入れられるか」──中国LGBTドキュメンタリーが問うエゴ、分断そして和解
「親が受け入れなければ、社会が変わることなんてない」
たとえ家族でも、別の人間のことをすべて知るなど不可能だ。グーチャオは「朝に目が覚めて、女性が好きになっていたらと思うことがある」と漏らす。LGBTとして生まれついたことは自身の選択ではない。同じように、多くの人が変えられない何かを秘めて日々を暮らしている。
家族同士がまったく同じ考えを持っていることもありえない。それでも理解したい・受け入れられたいと思うからこそ、人は他者と懸命にコミュニケーションし、伝え、知ることを通して関係を築く。しかしいま世界ではその正反対の分断、自分の見たいもの以外を正しくないと切り捨てる風潮が広がる。
当事者の親でもある支援団体代表がアンアンの母に「私たち親が受け入れなかったら、社会が変わることなんてない」と諭すシーンが印象的だ。
「出櫃(カミングアウト)――中国 LGBTの叫び」は1月23日より新宿K's cinemaで上映中。愛知、京都、大阪、岡山で順次公開予定。