最新記事

米政治

さようならトランプ、負債3億ドルと数々の訴訟、捜査が待っている

GOODBYE, DONALD TRUMP

2021年1月28日(木)18時45分
スーザン・マシューズ

ビジネスでも行き詰まる?

それだけではない。トランプには最低でも計3億ドルの負債があり、いずれも今後4年以内に返済期限を迎える。

議事堂襲撃をそそのかしたことで、事業の行方も不透明度を増した。事件後、ニューヨーク市やPGA(米プロゴルフ協会)はトランプの企業との契約を打ち切っている。

興味深いのは、これらの事例のどれかで、トランプが重大な敗北を喫することになった場合だ。

それが意味するのは、原理原則の勝利。これまで規則にのっとって適用されるべきルールは現実にはそうでなく、アメリカの法制度や金融制度はトランプを乗せて運ぶエスカレーターであり続けてきた。

だがトランプがこの国の実態をむき出しにしたことは、希望の兆しになるかもしれない。これほどの不正や不平等を目にしたら、誰もが行動を起こしたくなる。

だからこそ、大統領を退任したトランプは、これまで決して取る必要のなかった責任と向き合う羽目になるのではないか。もはや擦り抜けることはできない。あまりに多くの目が彼を見つめている。

トランプは罰を受けるべきだと考える人もあまりに多い。俳優マコーレー・カルキンは先日、映画『ホーム・アローン2』からトランプのカメオ出演場面を削除してほしいというファンの声に賛同した。

確かに、ばかげたジョークのような話だ。とはいえ同作のクリス・コロンバス監督は昨年末、トランプを出演させたのはごり押しされたからだと明かしている。

大統領になる前のトランプは、嫌な奴ではあったが、魅力的な嫌な奴と言えた。冗談のタネだったが、自ら笑いものを演じていると思えた。

だが今では、誰もがその正体を知っている。トランプが乗っているのはもう上りのエスカレーターではない。

©2021 The Slate Group

<2021年2月2日号「バイデン 2つの選択」特集より>

20240514issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月14日号(5月8日発売)は「岸田のホンネ」特集。金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口……岸田文雄首相が本誌単独取材で語った「転換点の日本」

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米の武器供給停止は誤ったメッセージ、駐米イスラエル

ビジネス

カナダ金融システム、金利上昇対応と資産価格調整がリ

ワールド

イスラエル首相、強硬姿勢崩さず 休戦交渉不調に終わ

ビジネス

Tモバイルとベライゾン、USセルラーの一部事業買収
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必要な「プライベートジェット三昧」に非難の嵐

  • 2

    休養学の医学博士が解説「お風呂・温泉の健康術」楽しく疲れをとる方法

  • 3

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 4

    上半身裸の女性バックダンサーと「がっつりキス」...…

  • 5

    ロシア軍兵舎の不条理大量殺人、士気低下の果ての狂気

  • 6

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 9

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 10

    自民党の裏金問題に踏み込めないのも納得...日本が「…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 8

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中