さようならトランプ、負債3億ドルと数々の訴訟、捜査が待っている
GOODBYE, DONALD TRUMP
法的泥沼が前大統領を待つ
これこそ、トランプ大統領時代に(支持者と批判派を問わず)多くの人が、心理的ストレスにさらされた理由の1つだ。トランプの行動を受けて、ある人は「なぜこんなことが許されるのか」と頭を悩ませ、別の人は「なぜ自分には同じことが許されないのか」と考えた。
トランプの大統領の就任以来、アメリカは数々の意味で深刻な痛手を被ってきた。だが最大のダメージは煎じ詰めれば、疑わしきは罰せずという原則が少数の恵まれた者にだけ拡大適用されていることだ。
ただし、今回だけは別かもしれない。大統領退任はトランプの人生における最も劇的な転換点だ。
負けを恥とする彼はいまだに、昨年の大統領選での敗北を認めることもできない。これは、拒絶されたことへの反応であると同時に、今後の展開を恐れてのことではないか。退任後のトランプには、前代未聞の数の法的泥沼と金銭的惨事が待ち受けている。
ニューヨーク州マンハッタン地区検察のサイラス・バンスJr.検事は、トランプ一族が運営するトランプ・オーガニゼーションに対する捜査の範囲を広げている。ニューヨーク州のレティシャ・ジェームズ司法長官は、トランプのビジネス慣行をめぐって別件で調査を進めている。
内国歳入庁(IRS)はトランプの税務調査に乗り出しており、報道によれば、税金詐欺容疑で連邦当局に起訴される可能性がある。
トランプが2016年の大統領選前、過去に関係を持った元ポルノ女優と元モデルの2人に口止め料を支払った件についても、バンスは適法性を調査している。昨年8月に裁判所に提出された書類によると、調査範囲は拡大される見込みだ。
トランプに性的暴行を受けたと告発した女性2人による名誉毀損訴訟も続く。
一方、トランプがジョージア州での大統領選の結果を覆すよう電話で求めたのは違法行為か、同州当局者は調べている。
さらに連邦議会議事堂の占拠事件で反乱を扇動したとして、トランプは1月13日、米下院で2回目の弾劾訴追を受けた。