最新記事

新型コロナウイルス

ユナイテッド機内で死亡した乗客にコロナ疑惑、CPRを試みた乗客らにも感染か

Man Who Performed CPR on United Passenger Says He Has COVID Symptoms

2020年12月21日(月)16時35分
カレダ・ラーマン

ユナイテット航空機内で倒れた男性は当初、心疾患と考えられたが Kamil Krzaczynski -REUTERS

<飛行機の中で倒れ、死亡した乗客にコロナ感染の疑いが浮上。蘇生処置を施した乗客は感染の不安に慄いている>

新型コロナウイルスに感染していた可能性のある乗客が、ユナイテッド航空機内で死亡した。この乗客に心肺蘇生法(CPR)を行った男性は、ウイルス感染の症状を訴えている。

事件が発生したのは、フロリダ州オーランド発のユナイテッド航空591便。12月14日にロサンゼルスに向けて出発後、男性乗客が機内で救急医療を必要とする状態に陥ったため、ニューオーリンズに緊急着陸した。男性は現地の病院に運ばれ、死亡が確認された。本誌はユナイテッド航空に以上の経緯を確認した。

同便の乗客トニー・ アルダパは、救急救命講習で学んだ経験を活かして急病の男性を助けようとした。

「死にそうになっている人を見て、本能的に、なんとか助けようとしたんだ」と、アダルパはテレビ局に語った。「3人で組んで、胸部圧迫を行った。たぶん、45分ぐらい続けた」

アダルバは後に、急病人の妻から、夫にはコロナウイルス感染が疑われる症状があり、今週にも検査を受けるつもりだったと聞いた。

今アダルパはウイルス感染の不安を感じ、「電車に轢かれたような気分」だという。

「咳が出たし、全身に痛みがある。頭痛もあった」と、彼は訴えた。

乗務員は2週間隔離

ユナイテッド航空は当初、男性が心停止を起こしたと知らされていた。だが現在は、疾病管理予防センター(CDC)と協力して、新型コロナウイルスにさらされた可能性のある同便の乗客に連絡を取っていると語った。

「今はCDCから直接、連絡を受け、情報を共有している。CDCは現地の保健当局と協力して、暴露や感染の可能性があると思われる乗客に連絡をすることになっている」

航空会社は、CDCが男性の死因を特定したかどうか、またウイルス感染を確認したかどうか、という点については明らかにしなかった。

CDCは18日、この件について「さらなる公衆衛生上の措置が必要であるかどうかを判断するために、情報を収集し、標準的な手続きを進めているところだ」と述べた。

アダルパは、自分のところにはまだCDCからの連絡はない、と語っている。

ユナイテッド航空によれば、男性乗客の妻は、夫が味覚や嗅覚の喪失など新型コロナウイルス感染の症状を訴えていたことを、救急隊員に伝えたが、その時点ではウイルス感染は確認されなかったという。

客室乗務員協会で広報を担当するテイラー・ガーランドは、この便に搭乗していた4人の客室乗務員全員がロサンゼルス到着後、2週間の隔離に入ったと本誌に語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、和平協議で米との信頼構築優先 欧州関与

ワールド

マスク氏、成果報告なければ解雇とまた警告 政権「返

ワールド

金正恩氏が政治将校養成機関で演説、忠誠の重要性を強

ワールド

EU、対シリア制裁を一部停止 エネルギー・銀行分野
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 2
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 3
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 4
    見逃さないで...犬があなたを愛している「11のサイン…
  • 5
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 5
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映…
  • 6
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 7
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 8
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中