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感染症対策英アストラゼネカ、ワクチン有効率証明にいまだ多くの作業 実用化遅延も
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英製薬大手アストラゼネカが英オックスフォード大学と共同開発する新型コロナウイルスワクチンを巡り、当初発表された有効率90%を証明するにはまだ多くの作業が残されていることが、英医学誌ランセットに掲載された論文で明らかになった。写真はイメージ。10月撮影(2020年 ロイター/DADO RUVIC)
英製薬大手アストラゼネカが英オックスフォード大学と共同開発する新型コロナウイルスワクチンを巡り、当初発表された有効率90%を証明するにはまだ多くの作業が残されていることが、英医学誌ランセットに掲載された論文で明らかになった。論文は外部専門家による査読(ピアレビュー)という作業を経たもので、実用化が遅れる可能性がある。
アストラゼネカは11月23日に同ワクチンの臨床試験(治験)の中間結果を発表。それによると、まず半分の量を投与し、少なくとも1カ月の間隔を置いて全量投与した場合の有効率が90%と、計画通り全量を2回投与した場合の有効率62%を上回った。ワクチン開発関係者は、1回目に半分の量を投与したのは「セレンディピティー(偶然の幸運)」だったとした。
ただ今回発表された論文には、1回目の接種の量を半分にした方がなぜ効果が高かったのか明確な説明はなく、「より多くの治験結果が明らかにされるにつれ、一段の研究が必要になる」との記述にとどまった。
英国で実施された治験では、1回目の接種量が半分だった治験参加者の割合は6%に満たず、この中に55歳以上の人は含まれていなかった。このことは、感染すると重症化する恐れがある高齢者に対する効果を確認するために、一段の治験が必要になる可能性があることを示している。
ただ全体の有効率は70.4%と、米食品医薬品局(FDA)が定める最低水準の50%は上回った。
アストラゼネカの研究・開発部門を率いるメネ・パンガロス氏は、「年末から来年初旬にかけて」各国の保健当局に承認申請する可能性があると指摘。ただオックスフォード・ワクチン・グループを率いるアンドリュー・ポラード氏は、投与量が異なる2種類の接種方法でそれぞれ異なる結果が出たことで、承認過程が複雑になる可能性があると述べた。
パンガロス氏は、治験の再実施の必要性については明確に示さず、「次回の治験を実施について何も決定していない。状況を見ながら決定する」と述べるにとどめた。
他のワクチンを巡っては、「メッセンジャーRNA(mRNA)」技術に基づくものを開発する米モデルナと米ファイザーがそれぞれ有効率が90%を超えたとする治験結果を発表。ファイザーのワクチンはこの日、英国で接種が始まった。
アストラゼネカのワクチンは従来の技術に基づくもので、超低温で貯蔵する必要はないため、途上国などでの利用に有利とみられている。
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