最新記事

バイデン政権

元通りのアメリカを目指すバイデンの閣僚候補

Progressives Cheer Joe Biden's First Round of Cabinet Picks: 'A Great First Step'

2020年11月25日(水)18時45分
ラムジー・タッチベリー

次期政権の閣僚候補を発表するバイデン(11月24日) Joshua Roberts‐REUTERS

<第一陣として発表されたバイデン政権の主要閣僚候補者は、民主党左派からも共和党からも文句が出ないベテラン中心に>

ジョー・バイデン次期大統領が第一次主要閣僚候補は、バイデンが最高司令官として成功を収めるうえで欠かせない民主党内のある派閥の支持を得られた。その派閥とは党内でも左寄りの「進歩派」だ。

民主党内の急進的左派と共和党主導の議会上院の間で微妙なバランスをとるためには、綱渡りのような曲芸が要求される。そのことをよく知っているバイデンは、いわば「昔のお仲間」を呼び戻した。

バイデンは24日、次期政権の閣僚の一部として、候補者6人を正式に発表。「わが国と国民の安全を守るチームだ」と紹介した。

閣僚候補者名簿に名を連ねるのは、各分野で数十年の経験がある専門家、およびオバマ政権の元閣僚たち。民主党内のリベラルな勢力を満足させると同時に、閣僚人事を承認する上院の共和党議員との関係悪化を避けることができる人選になっている。

今のところ共和党からの反応は、好意的だ。

「よかったのは、バイデンが多くの点で極左勢力に抵抗していることだ」と、ベン・サッセ上院議員(共和党、ネブラスカ州)は言う。

バイデンが選んだ候補の多くは進歩派の民主党員にとっては第一選択肢ではないだろう。だが少なくとも今回発表された財務省、国土安全保障省、気候変動対策に関わる主要閣僚の候補については、賛同できる人選であることは明らかだ。議会や権利擁護団体のかなり急進的な左派のメンバーの一部からは、候補者を賞賛する声すらあがっている。

気候変動と戦う覚悟

バイデンは、オバマ政権で国務長官を務めたジョン・ケリーを、今度から閣僚レベルのポストに格上げされる予定の気候変動問題担当の大統領特使に指名した。ケリーは、バイデンとバーニー・サンダース上院議員(無所属、バーモント州)が設立した気候タスクフォースの議長をアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(民主党、ニューヨーク州)と共に務めた。

政権の気候変動対策を率いるポストにケリーを選んだことは、さまざまな民主党員から称賛された。

気候変動問題に包括的に取り組む「グリーン・ニューディール」法案をオカシオコルテスと共同でまとめたエド・マーキー上院議員(民主党、マサシューセッツ州)は、気候変動に取り組むうえで「ケリーをしのぐ人材はいない」と語る。この選択は「外交政策と国家安全保障に関する卓越したリーダーシップ」を反映している、とマーキーは付け加えた

サンダースの2020年大統領選挙運動の元共同議長であり、グリーン・ニューディールを支持するロ・カーナ下院議員(民主党、カリフォルニア州)は、ケリーを「気候変動と戦う勇敢な指導者」と評した。

気候変動対策を政策の目玉として2020年大統領選にむけた民主党予備選に出馬したワシントン州知事ジェイ・インスリー(民主党)は、ケリーの指名を「優れた選択」と評価し、バイデンの決定は「科学に従って、地球を救い、何百万人もの雇用を創出しようとするバイデンの真摯な覚悟を再認識させるものだ」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-チャットGPTなどAIの基盤モ

ワールド

米がイスラエルに供給した爆弾、ガザ市民殺害に使われ

ビジネス

英アーム、通期売上高見通しが予想下回る 株価急落

ビジネス

PIMCO、金融緩和効果期待できる米国外の先進国債
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    習近平が5年ぶり欧州訪問も「地政学的な緊張」は増すばかり

  • 4

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 7

    迫り来る「巨大竜巻」から逃げる家族が奇跡的に救出…

  • 8

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中