党内左派の人事でバイデンの力量が試される、「妥協はバイデンの持ち味」
BIDEN’S FIRST 100 DAYS
共和党は反発するだろう。彼らはバラク・オバマ前大統領の多くの大統領令にも抵抗した。だが民主党は、トランプはオバマよりもさらに大統領令の限界を押し広げたと指摘する。実際、トランプの大統領令には合法性が怪しいものもある。
だがバイデンは、その一部を今後も維持するかもしれない。その1つが、保険会社に対して、既往症のある人が加入する権利の保護を求めた9月の大統領令だ。
連邦最高裁(保守派の判事が過半数を占める)が、11月10日から開始した審理で国民皆保険オバマケアを違憲と判断した場合、バイデンがトランプのこの大統領令を持ち出す可能性はある。「トランプの大統領令を使って主張を展開すれば、共和党としては反対しにくくなる」と、ある政権移行チーム関係者は言う。
「この国が直面する大きな難題に対処するために必要なら、バイデンはあらゆる大統領権限を利用するだろう」と民主党重鎮のダシュルは言う。「彼は法にのっとり、議会と連携して仕事を進めることを好むが、必要に迫られれば独断でも動くかもしれない」
またバイデンは、副大統領として世界各地を回ってきただけでなく、上院外交委員会の委員長を務めた経験もある。外交分野での豊富な経験と、世界の多くの指導者との個人的なつながりは、大統領としての大きな強みになるだろう。
実際、バイデン勝利が報道されるとすぐに、トランプからの頻繁な非難に神経を擦り減らせてきた同盟諸国は喜びの声を上げた。
同盟国の信頼を回復する
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は「大西洋を越えたわれわれの友情は極めて重要だ」とツイート。NATOのイエンス・ストルテンベルグ事務総長も「バイデンはNATOを強く支持しており、彼と緊密に協力するのが楽しみだ」と投稿した。
政権移行チームの関係者は、公式声明や一部対外支援の復活、トランプ時代の移民規制の撤回を通して、本気で国際社会との関係修復に乗り出す意思を示したい考えだ。
しかしジョージ・W・ブッシュとオバマ、2人の大統領の顧問を務めた経験を持つエリッサ・スロトキンは、バイデンが大統領になっただけでは、トランプ時代の傷を癒やすことはできないと指摘する。
「選挙結果がトランプ主義の明確な否定を意味するわけではない。バイデンが各国政府に対して『アメリカは4年間脱線していたが戻ってきた』と言うだけでは不十分だ」と、現在はミシガン州選出の民主党下院議員であるスロトキンは言う。