最新記事

バイデンのアメリカ

バイデン選挙公約実現のカギは、同い年の共和党重鎮ミッチ・マコネル

BIDEN’S FIRST 100 DAYS

2020年11月20日(金)06時40分
スティーブ・フリース

magSR20201120bidensfirst100days-A-2.jpg

アメリカのコロナ死者20万人を追悼する(ワシントン) WIN MCNAMEE/GETTY IMAGES

上院の共和党が足かせに

バイデンは7日の晩、地元ウィルミントン(デラウェア州)で勝利宣言をした際、直ちに仕事を始める、そして新型コロナウイルス対策の専門チームを立ち上げると宣言。自分の決意を次のように語った。

「今のアメリカが私たちに求めているのは、まずもって良識と公正の精神を発揮し、科学の力と希望の力で難関に立ち向かうことだ。このウイルスを封じ込める闘い。繁栄を築く闘い。みんなの健康を守る闘い。この国で人種間の平等を達成し、根深い人種差別を根絶する闘い。そして気候変動を食い止めて地球を守るための闘いがある」

その上で、バイデンは選挙戦中にも機会があるたびにそうしてきたように、全国民の和解を呼び掛けた。

「皆さん、もちろん私は誇り高き民主党員です。しかし今はアメリカ人みんなの大統領になります。私に投票しなかった人たちのためにも、私に投票した人たちのために働くのと同じように頑張ります」

そう言い切ったバイデンは、大統領として「最初の100日」をどう乗り切るのだろう。

長年の盟友で、かつては上院の院内総務を務めたこともあるトマス・ダシュル元上院議員に聞くと、自分は今回の政権移行チームに直接には関与していないと前置きした上で、こんな答えを返してくれた。

「問題は4つある。第1はもちろん新型コロナウイルス対策。100年に1度の深刻な感染症を何としても抑え込まねばならない。第2は経済。バイデンは2009年、世界金融危機後の景気回復に必要な政策の実行で先頭に立った。あの経験を生かして、現下のコロナ禍と経済問題に取り組めばいい。第3は、以前から重視してきた気候変動の問題。まずはパリ協定に復帰し、アメリカの責任を果たすべきだ。そして最後は、国際社会におけるアメリカの地位の回復と同盟諸国との関係修復だ」

議会対策で最優先すべきは、もちろん新型コロナウイルスのもたらした経済的被害の救済策だ。中小企業への支援、個人への追加的な現金給付、州政府や地方自治体への財政支援の強化などが含まれる。

論理的には、新大統領の就任を待たずに議会が動き、既に「死に体」の現職大統領を差しおいて、与野党の合議で必要な立法措置を講じることも可能だ。しかし選挙の結果さえ受け入れないトランプが、そうした法案に署名する保証はない。だから現実問題としては、1月20日の新政権発足後の対応になるだろう。

ちなみに、新議会の構成はまだ決まっていない。民主党が上院の過半数を取り戻す可能性も、まだ残っている。ただし大方の予想では、その可能性は票の再集計や裁判を通じてトランプが逆転勝利を手にする可能性と同じくらい小さい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中