大統領選でまた大外れした世論調査はもういらない?
THE POLLS WERE USELESS
世論調査専門家は、人間的なバイアスや感情に左右されない客観的なデータ処理の担い手を自称する。とはいえ現実には、彼らは安心感を与えることを商売にしている人々だ。
過去数週間、バイデン支持者は不安を覚えるニュースを耳にするたび、ファイブサーティーエイトのサイトで89%に達したバイデンの勝利確率を確認し、問題は起きていないと感じることができた。だが世論調査機関や分析サイトは、まがいものの確実性をばらまいている。
今年の大統領選は、北中西部の1州か2州の開票結果が出るまで分からない大接戦になる可能性が極めて高いこと、勝者が判明するまで時間がかかることは何週間も前から明らかだった。次期大統領にバイデンが選ばれても、圧勝でなかったことに支持者が落胆するとしたら、それはファイブサーティーエイトの楽観的過ぎた予想のせいだろう。
世論調査が消え去ることはないし、消え去るべきでもない。それでも2016年大統領選での過ちが、1回限りの異常事態ではなかったことは認識されるべきだ。
世論調査をめぐって、私たちは十分痛い思いをしてきた。米有権者約1億6000万人の行動が呈する混迷と複雑性に、それなりの敬意を払わない理由はもはやない。
©2020 The Slate Group
<2020年11月17日号「米大統領選2020 アメリカの一番長い日」特集より>
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