最新記事

米台関係

台湾総統が米大統領選で異例の声明「トランプ敗北でも冷静に」

Taiwan President Urges Calm As Pro-Trump Citizens Panic Amid Biden Vote Surge

2020年11月6日(金)14時15分
ジョン・フォン

アメリカが対中強硬路線から転換するのを台湾世論は恐れている? Ann Wang-REUTERS

<対中強硬姿勢のトランプ再選を望む台湾の人々に向けて、どちらが勝っても米台関係は揺るがないと強調>

台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は5日、米大統領選の開票状況で民主党のジョー・バイデン候補が優勢となっていることを受けて、ドナルド・トランプ大統領の再選を望む台湾の人々に対して、事態を冷静に見守るよう呼び掛けた。

蔡総統はフェイスブックで、米大統領選に関する異例の声明を表明した。この中で、アメリカを「重要な同盟国」と位置付け、共和党と民主党のどちらの政権になっても蔡政権は緊密な関係を維持すると強調した。

アメリカの台湾への支持はすでに「党派を越えた主流となっている」と主張し、バイデンとトランプのどちらが次期大統領に選出されても協力関係を維持すると明言した。

蔡総統は2016年の就任以降、中国からの軍事的な圧力に直面しており、アメリカのトランプ政権からは特に強力な支援を受けている。トランプが就任した17年以降、アメリカは台湾に対してF-16ジェット戦闘機や対艦ミサイルなど武器売却の契約を10回に渡って結んでいる。

その結果、トランプ大統領は台湾の住民2300万人、特に若年層からは強い支持を得ている。

バイデン優勢の流れに動揺?

蔡総統や他の政府高官は、今回の米大統領選に関して一貫して中立の姿勢を示している。しかし与党・民進党の複数の立法委員(台湾の議会議員)が、ソーシャルメディアなどであからさまにトランプ支持を表明して批判を受けている。

米大統領選の開票速報では当初、トランプの優勢が伝えられたが、開票が進むにつれてバイデンの優勢へと傾いている。このため、蔡総統は台湾の住民に動揺が広がるのを避けようとしたようだ。

「アメリカは台湾の重要な同盟国であり、皆さんが大統領選に注目していることは分かっている」と、蔡総統は声明で述べた。

「台湾政府は大統領選の情勢を注視している。そして(中国との間の)台湾海峡の状況を注意深く監視し、台湾の平和と安定が維持できるよう、近隣諸国との間で緊密に連絡を取っている」と続けた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

野村HDの前期純利益、約2倍で過去最高 主要3部門

ビジネス

アステラス、26年3月期の営業益3.8倍の見通し 

ビジネス

日経平均は3日続伸、米中貿易対立緩和期待で 円安も

ビジネス

野村HD、発行済み株式の3.2%・600億円を上限
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考えるのはなぜか
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 6
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 7
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 8
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    欧州をなじった口でインドを絶賛...バンスの頭には中…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中