フランスの次はオーストリア──相次ぐイスラム過激派テロに身構える欧州
U.K. Terror Threat Level Rises to 'Severe' After Austria and France Attacks
オーストリアの首都ウィーンの市内で起きた銃撃テロの現場を警備する警官(11月3日)Leonhard Foegervel-REUTERS
<フランス、オーストリアとイスラム過激派のテロが連続し、欧州全域に緊張感が高まるなか、イギリスはテロ警戒レベルを引き上げた>
ヨーロッパでは今、各地でイスラム過激派によるテロが相次ぎ、さらなる攻撃への不安が高まっている。オーストリアとフランスで発生した複数のテロ事件を受けて、イギリスでもテロの警戒レベルが引き上げられた。イギリスの対テロ当局者によれば、それはテロの「可能性がかなり高い」ことを意味する。
イギリスのプリティ・パテル内務大臣は、合同テロ分析センター(JTAC)が、テロの警戒レベルを「重大(substantial)」から「深刻(severe)」に引き上げたことを発表した。
「これは予防措置であり、特定の脅威に基づくものではない」とパテルは言い、イギリス全土で警備体制を強化するなか、イギリス国民は「警戒すべきだが、恐れるべきではない」と注意を喚起した。高まるテロの脅威に対処するために態勢を立て直し、対応策を強化する重要な措置はすでに講じられている。
「イギリスは現実的かつ深刻な国内テロの脅威に直面している」と、パテルは語った。「国民は警戒を続け、不審な活動があれば警察に報告するようお願いしたい」
2日の夜、オーストリアの首都ウィーンでテロとみられる銃撃事件が起き、4人が死亡、17人が負傷した。ナイフとライフルで武装した銃撃犯は、市の中心部にあるユダヤ教の礼拝堂(シナゴーグ)付近をはじめ市内6カ所で発砲した。
テロ発生は避けられない
フランスのニースでは10月29日、ナイフによる襲撃で3人が死亡した。10月16日には教師のサミュエル・パティがパリ近郊で首を切断されて殺害される事件が起きている。
イギリスの警戒レベル引き上げの決定を行ったJTACは、ロンドンにある軍事情報活動第5部(MI5)に拠点を置く機関で、警察、政府、治安機関のテロ対策専門家で構成されている。
フランスにおけるテロ事件によって国内のイスラム教徒コミュニティと政府の間の緊張は高まっており、今後もテロ攻撃は「避けられない」と専門家は本誌に語った。
イギリスの警戒レベルは、昨年11月に5年ぶりに「深刻」から「重大(substantial)」に下がっていた。「深刻」レベルは5段階中2番目に高く、その上には「危機的(critical)」しかない。最高位の「危機的」までレベルが上がったのは、2017年5月のことで、マンチェスター・アリーナでのアリアナ・グランデのコンサートで発生したテロがきっかけだった。