歌は脳にも体にもいいことだらけ 1日3分の「歌トレ」で楽しく健康を手に入れよう
自宅で1人でも歌トレーニングは可能だ ankomando/iStock.
<毎日歌えば免疫力を高めて認知症を予防するだけでなく、のどを鍛えることで誤嚥性肺炎の予防にもなる>
冬の訪れとともに、新型コロナウイルスの感染が再拡大している。特にリスクが高い高齢者は、外出を控えている人も多いだろう。仕方がないとはいえ、そんな生活ではストレスがたまる。また、家に閉じこもっていては健康面でも心配だ。
制約が多い生活の中で高齢者の健康を維持するために、新刊『脳も体も活性化‼ 1日3分 歌トレ』(山本健司著、CCCメディアハウス刊)の著者で、米寿のバリトン歌手の山本健二氏が提案するのが歌を歌うことだ。山本氏によると、1日3分歌うだけで、健康に良い効果があるという。
そうは言っても新型コロナウイルスが蔓延している今、みんなで集まって歌を楽しむのは難しい。しかし、山本氏がすすめる「歌唱テイクアウト」なら安心だ。本書を活用すれば、自宅で1人でも歌トレーニングが可能だ。誰でも知っている懐かしい童謡や唱歌など41曲が掲載され、付属のCDで山本氏と一緒に歌うこともできる。歌い方のポイントやその曲の背景なども紹介されているので、その歌に込められた思いやコツを意識しながら歌ってみたい。
なぜ歌は健康にいいのか?
本書の推薦者で、アンチエイジングの第一人者としてテレビや雑誌などで活躍している白澤卓二医師は、「歌うことは確実に健康につながる」と言う。
まず、大脳皮質の聴覚、認知、運動機能、感情機能の関与する部分が刺激され、加齢によるさまざまな衰えを予防できる。大きな声で歌うためには、腹式呼吸が必要だ。お腹いっぱいに息をため、それをゆっくり吐き出す。これを繰り返すことで、衰えていた肺機能が回復していく。また、大きな声で歌い、のどの筋肉を鍛えることは、高齢者に多い誤嚥性肺炎の予防にもつながるとされている。
歌うことは、ストレス解消にもなる。懐かしいメロディーに親しめば、その頃を思い出す「回想体験」になり、脳が刺激される。その結果、脳内ホルモンがバランスよく分泌され、同時に免疫力がアップ。さまざまな感染症に立ち向かう心身状態を保つことができるようになると白澤医師は言う。
「どんぐりころころ」のその後とは?
誰もが知っている歌に、「どんぐりころころ」がある。あらためてその歌詞を見てみよう。
「どんぐりころころ」
一、 どんぐりコロコロ ドンブリコ
お池にはまって さあ大変
どじょうが出て来て 今日は
坊ちゃん一緒に 遊びましょう
二、 どんぐりころころ よろこんで
しばらく一緒に 遊んだが
やっぱりお山が 恋しいと
泣いてはどじょうを 困らせた
どんぐりもどじょうも、なんだかかわいそうになってしまう歌詞だ。しかし、山本氏によると、これには理由があるという。作詞をした青木存義氏が「子供達が自分で考えるように」と、あえて三番以降の歌詞をつくらなかったとされている。そこで、山本氏もオリジナルの三番を次のように考えた。