最新記事

次世代型超高速輸送

韓国のハイパーループ実験は時速1000キロ超を達成、ヴァージンは有人走行に世界初成功

2020年11月17日(火)17時55分
松岡由希子

韓国のハイパーループ構想のミニチュア 2017年 YTN korean-YouTube

<次世代型超高速輸送システムの研究開発が各地で進んでいる。韓国では、17分の1サイズで、時速1019キロを記録。ヴァージンは、有人走行に世界で初めて成功した......>

ハイパーループとは、米国の実業家イーロン・マスクが2013年8月に発表した次世代型超高速輸送システムである。減圧されたほぼ真空状態のチューブ内を空中浮上して走行することで、摩擦抵抗や空気抵抗を最小限に抑え、既存の高速鉄道や旅客機よりも速く移動できるのが特徴だ。

現在、このコンセプトを応用した超高速鉄道の研究開発が世界各地ですすめられており、有望な実験結果が相次いで示されている。

韓国鉄道技術研究院は、17分の1サイズで、時速1019キロを記録した

2016年1月から「真空チューブ鉄道構想」の研究開発をすすめている韓国鉄道技術研究院(KRRI)は、2020年11月11日、「実際の車両の17分の1の実証実験用デバイスを用いた走行実験において、時速1019キロを記録した」と発表した。

この記録は、2019年9月の走行実験で記録した時速714キロを大きく上回るもので、ハイパーループを応用した車両としては世界最速だ。

韓国では、現在3時間かかっている首都ソウルと釜山との移動時間を20分に大幅短縮する超高速鉄道システムの実現を目指しており、2017年6月には韓国建設技術研究院(KICT)と漢陽大学がハイパーループの実用化に取り組む米スタートアップ企業「ハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズ(HTT)」と提携している。

ヴァージン・グループは、有人走行に世界で初めて成功

英ヴァージン・グループ傘下でハイパーループ技術の開発をすすめている「ヴァージン・ハイパーループ」は、11月8日、米ラスベガスにある500メートルの実験施設「デブループ」で実証実験用ハイパーループ・ポッド「XP-2」の有人走行に世界で初めて成功した。

maxresdefault.jpg

「デブループ」では、これまでに400回以上の無人走行が行われてきたが、今回の有人走行は、乗客がほぼ真空の環境で安全に移動できることを実証する初の成果として注目されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

仏製造業PMI、3月改定48.5に上昇 見通し厳し

ビジネス

欧州株STOXX600の予想引き下げ、米関税で=ゴ

ビジネス

再送-インタビュー:トランプ関税で荷動きに懸念、荷

ワールド

ミャンマー地震の死者2719人と軍政トップ、「30
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中