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スクールカーストの「階級」を決めるのは、体育の得意度?

2020年10月28日(水)16時15分
舞田敏彦(教育社会学者)

勉強が得意な子は友人が多い? skynesher/iStock. 

<特定の教科が得意かどうかがクラス内での人気を左右する>

「スクールカースト」という言葉が流行ったことがある。クラスの中の階級という意味だが、こういうのがあるのは誰もが経験で知っている。

階級分けの基準は、メンバーの中でどれほど人気を得ているか、決め事などの際、どれほど影響力を持っているかだ。カーストが上位の子が遊びに来ると、わが子がいじめに遭わぬようにと、接待をする親もいると言う。

学級担任の教師にとっても、教室内のカースト構造は重要な関心事だ。それを可視化する技法として、ソシオメトリック・テストなども開発されている。「好きな子、嫌いな子の名前を挙げてください、その理由も書いてください」と尋ね、得られた回答をもとに学級内の人間関係図(ソシオグラム)を描く。「スキ」の矢印を多く集めている子は人気者で、「キライ」の矢印を多く向けられている子は良く思われていない生徒だ。

カーストの決定要因としては、ルックスの良さや腕っぷしの強さなどの他に、勉強の出来というのもある。子どもの本分は勉強で、学歴社会の度合いが強い日本では、勉強ができる子が賞賛の対象となりやすい。

勉強の得意度は、友人の多さと関連している。思春期の小学校6年生のクロス集計結果を示すと<図1>のようになる。勉強の得意度で分けた4つの群ごとに、友人の多さを比較したグラフだ。国立青少年教育振興機構の調査データを独自に集計して作成した。

data201028-chart01.jpg

2つの問いに有効回答をした2562人のデータで、タテの4つの群ともサンプル数は十分にある。群ごとに友人の多さを見ると、勉強が得意な群ほど、友人が多いという回答の比率が高い。青色の「とても思う」の割合は、勉強が最も得意な群では68.3%だが、最も不得意な群では37.1%しかいない。攪乱のないきれいな傾向だ。むろん例外もいて、勉強がとても得意な群にも、友人が全くいないと自覚している子(赤色)もいる。

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