最新記事

新型コロナウイルス

中国・青島市で冷凍食品から新型コロナウイルスが検出された

2020年10月23日(金)17時00分
松丸さとみ

とはいえ、このような中国の対応には、懐疑的な見方も少なくない。国際食品微生物規格委員会(ICMSF)は9月、具体的な国名は出していないものの、輸入食品に対し新型コロナの検査などを行う国があると指摘した上で、食品が新型コロナ感染の危険性を持つとは考えにくいため、こうした対策に「科学的な正当性はない」と意見書の中で述べた。

またガーディアンは中国CDCの見解として、新型コロナウイルスに汚染された冷凍食品に触れたことが原因で、消費者が感染したという事実はないとしており、またそのような可能性も低いとみられる、と報じている。ただし、中国CDCは感染する可能性がゼロではないとの見方を示しており、青島市の住民の中にも、一時的に冷凍食品の輸入を禁止するよう求める声もあるという。

専門家でも異なる意見

世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(米CDC)はこれまでも、食品そのものや食品の外装を介して新型コロナウイルスに感染するリスクは低いと明言してきた。

WHOはウェブサイトで、新型コロナウイルスは生きた動物またはヒトをホストとして増殖する必要があり、食品の外装の表面で増殖はできないと説明。パッケージの消毒は必要ないとし、それよりも、そうした食品を触った後や食事の前に手を洗うよう促している。

米CDCも、「物の表面での新型コロナウイルスの生存性は低いため、食品や食品のパッケージから感染するリスクは非常に低い」とウェブサイトに掲載している。

一方でWSJは、輸入された食品から新型コロナウイルスに感染することは、食品が低温で輸送された場合、理論的にはあり得ない話ではないという専門家の話を紹介している。

ただし感染させるには、感染者がくしゃみや咳などをして、感染に十分な量のウイルスを食品の外装に付着させる必要があること、ウイルスが壊れる前に輸入先に到着する必要があること、輸入先で荷物を処理した人がウイルスに触れた後に自分の顔に触れる必要があること、などを考慮すると、可能性としてはかなり低いとしている。

Living novel coronavirus isolated from imported frozen food packaging in Qingdao: China CDC

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦争を警告 米が緊張激化と非難

ビジネス

NY外為市場=ドル1年超ぶり高値、ビットコイン10

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 取引禁止

ビジネス

米国株式市場=上昇、ダウ・S&P1週間ぶり高値 エ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中