中国・青島市で冷凍食品から新型コロナウイルスが検出された
とはいえ、このような中国の対応には、懐疑的な見方も少なくない。国際食品微生物規格委員会(ICMSF)は9月、具体的な国名は出していないものの、輸入食品に対し新型コロナの検査などを行う国があると指摘した上で、食品が新型コロナ感染の危険性を持つとは考えにくいため、こうした対策に「科学的な正当性はない」と意見書の中で述べた。
またガーディアンは中国CDCの見解として、新型コロナウイルスに汚染された冷凍食品に触れたことが原因で、消費者が感染したという事実はないとしており、またそのような可能性も低いとみられる、と報じている。ただし、中国CDCは感染する可能性がゼロではないとの見方を示しており、青島市の住民の中にも、一時的に冷凍食品の輸入を禁止するよう求める声もあるという。
専門家でも異なる意見
世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(米CDC)はこれまでも、食品そのものや食品の外装を介して新型コロナウイルスに感染するリスクは低いと明言してきた。
WHOはウェブサイトで、新型コロナウイルスは生きた動物またはヒトをホストとして増殖する必要があり、食品の外装の表面で増殖はできないと説明。パッケージの消毒は必要ないとし、それよりも、そうした食品を触った後や食事の前に手を洗うよう促している。
米CDCも、「物の表面での新型コロナウイルスの生存性は低いため、食品や食品のパッケージから感染するリスクは非常に低い」とウェブサイトに掲載している。
一方でWSJは、輸入された食品から新型コロナウイルスに感染することは、食品が低温で輸送された場合、理論的にはあり得ない話ではないという専門家の話を紹介している。
ただし感染させるには、感染者がくしゃみや咳などをして、感染に十分な量のウイルスを食品の外装に付着させる必要があること、ウイルスが壊れる前に輸入先に到着する必要があること、輸入先で荷物を処理した人がウイルスに触れた後に自分の顔に触れる必要があること、などを考慮すると、可能性としてはかなり低いとしている。
Living novel coronavirus isolated from imported frozen food packaging in Qingdao: China CDC