最新記事

自動運転

米重機キャタピラー、コロナ対策で自動運転技術に賭ける

2020年10月14日(水)10時13分

差別的優位性

キャタピラーと小松製作所は世界の「無人ダンプトラック運転システム(AHS)」で大きなシェアを握っている。しかしアナリストの間からは、他社の機器にも後付け可能な方式を採用しているキャタピラーの方が優位だ、との声が出ている。小松製作所の技術は自社製品でしか使えない。

小松製作所のクック氏は、後付け方式は目先の解決策であり、小松は異なるブランドの機器を安全かつ効率的に運用することができる技術を開発中だと述べた。

一方、キャタピラーのジム・ホーキンス氏は、鉱山会社は大きなコストをかけて建機全体を大々的に見直すことなく、ハードウエアやソフトウエアを購入して自動運転が可能になるため、後付け可能な方式は売上高アップに貢献したと話した。

キャタピラーは建機と切り離して自動運転技術を販売している。ホーキンス氏によると、既存の建機への自動運転技術の後付けは、これまでのところ成長の最大のけん引役だが、最近は最初からこうした技術を組み込んだ建機を発注する顧客が増えている。

ホーキンス氏によると、キャタピラーはハードウエア、ソフトウエア、ライセンスなどに手数料を課しており、こうした技術を導入するコストは規模や契約期間により5000万ドルから数億ドルに達する。

キャタピラーはサービス関連の売上高拡大に取り組んでおり、昨年180億ドルだったこの分野の売上高を2026年に280億ドルに引き上げる目標を掲げている。

メリウス・リサーチのアナリスト、ロブ・ワーセイマー氏は、鉱業企業の老朽化した建機の買い換えや自動運転技術導入の需要は、ライバル企業に対して「差別的優位性」を持つキャタピラーにとって追い風になると指摘。「キャタピラーは戦略的に良い位置にいる」と話した。

(Rajesh Kumar Singh記者)


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 トランプ関税大戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月15日号(4月8日発売)は「トランプ関税大戦争」特集。同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米は中国と貿易合意を、ブリッジウォーター創業者が投

ワールド

台湾外相、トランプ関税一時停止を歓迎 「詳細協議の

ビジネス

アングル:息潜める米社債市場、発行が事実上停止 ト

ワールド

米政府、移民やビザ申請者のSNS投稿検閲 「反ユダ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 3
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた考古学者が「証拠」とみなす「見事な遺物」とは?
  • 4
    【クイズ】ペットとして、日本で1番人気の「犬種」は…
  • 5
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 6
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    毛が「紫色」に染まった子犬...救出後に明かされたあ…
  • 9
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 10
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 1
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 8
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中