米重機キャタピラー、コロナ対策で自動運転技術に賭ける
差別的優位性
キャタピラーと小松製作所は世界の「無人ダンプトラック運転システム(AHS)」で大きなシェアを握っている。しかしアナリストの間からは、他社の機器にも後付け可能な方式を採用しているキャタピラーの方が優位だ、との声が出ている。小松製作所の技術は自社製品でしか使えない。
小松製作所のクック氏は、後付け方式は目先の解決策であり、小松は異なるブランドの機器を安全かつ効率的に運用することができる技術を開発中だと述べた。
一方、キャタピラーのジム・ホーキンス氏は、鉱山会社は大きなコストをかけて建機全体を大々的に見直すことなく、ハードウエアやソフトウエアを購入して自動運転が可能になるため、後付け可能な方式は売上高アップに貢献したと話した。
キャタピラーは建機と切り離して自動運転技術を販売している。ホーキンス氏によると、既存の建機への自動運転技術の後付けは、これまでのところ成長の最大のけん引役だが、最近は最初からこうした技術を組み込んだ建機を発注する顧客が増えている。
ホーキンス氏によると、キャタピラーはハードウエア、ソフトウエア、ライセンスなどに手数料を課しており、こうした技術を導入するコストは規模や契約期間により5000万ドルから数億ドルに達する。
キャタピラーはサービス関連の売上高拡大に取り組んでおり、昨年180億ドルだったこの分野の売上高を2026年に280億ドルに引き上げる目標を掲げている。
メリウス・リサーチのアナリスト、ロブ・ワーセイマー氏は、鉱業企業の老朽化した建機の買い換えや自動運転技術導入の需要は、ライバル企業に対して「差別的優位性」を持つキャタピラーにとって追い風になると指摘。「キャタピラーは戦略的に良い位置にいる」と話した。
(Rajesh Kumar Singh記者)


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