最新記事

台湾

米国と台湾が共同インフラ計画で連携 中国の一帯一路に対抗へ

2020年10月1日(木)12時07分

米国と台湾の当局者は30日、両国がインド洋・太平洋地域と中南米のインフラ計画で協力すると述べた。中国の広域経済圏構想「一帯一路」に暗に対抗した形だ。写真は会見する米台当局者ら(2020年 ロイター/BEN BLANCHARD)

米国と台湾の当局者は30日、両国がインド洋・太平洋地域と中南米のインフラ計画で協力すると述べた。中国の広域経済圏構想「一帯一路」に暗に対抗した形だ。

一帯一路は中国を欧州とアジア、その他の地域をつなぐために、道路や鉄道、施設を建設する計画。米国は、中国が「債務のわな」に各国をはめる策略だという疑念を抱いているが、中国はこれを否定している。

台湾にある米国の代表機関で、事実上の大使館である米国在台協会(AIT)は米国と台湾の新たな計画が「新興国における高品質なインフラ」を支えると説明。台湾の呉釗燮(ジョセフ・ウー)外交部長は、今回の計画が米国のインド洋・太平洋戦略と台湾の新南向政策と合致すると述べた。新南向政策は、中国依存を改め東南アジア・南アジアを重視する政策。

ウー氏は「台湾と米国の協力関係が一段階上がった」と強調。計画に投じる金額の規模や投資計画の詳細はすぐには明らかになっていない。

計画の下、米財務省と台湾の外交部(外務省に相当)が作業部会を設置し、官民共同のインフラ投資を特定・促進する。

AITのクリステンセン所長(大使に相当)は計画について、インド洋・太平洋地域で、より力強い供給網を促進する枠組みになるとし、作業部会が今秋に第1回会合を開くと述べた。

大半の国同様、米国は台湾と正式な外交関係がない。中国は台湾を自国の一部と主張している。ただ米国は台湾にとって最も重要な支援国で、軍事品の主要な調達国。中国はこれに強く反発している。

米国と台湾は今月、新型コロナウイルス禍に伴う供給網の再構築に向け、自由や民主主義など価値観を共有する「同志国」に協力を呼び掛けた。米国は経済的に中国から自立しようとしており、中国が台湾への軍事的挑発を強化する中、台湾も中国への経済的依存を和らげようとしている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中