エイズ患者に不当な風評「HIV陽性者はコロナ感染リスクが高い」 コロナ禍で対策が数年も逆戻り
ニイレンダ氏は電話インタビューで、「HIV陽性者を警戒するべき理由などあるだろうか。HIV陽性者のほとんどは抗レトロウイルス療法を受けており、普通の生活を送っているというのに」と話している。
同氏の部局では、パンデミックの期間中は6ヶ月分の薬剤を処方することで、病棟・診察室の混雑を緩和することをめざしている。
「コロナ持ち」という罵倒
若者主導による支援グループ「HIV(y+)」の運営に協力しているバイオレット・バンダ氏は、以前からの偏見が強まっていることが約8000人の会員を抱える彼女のグループにも影響を与えていると嘆く。
「私たちの会員のなかにも、新型コロナの感染者だと攻撃される風潮が生じている」と同氏は言う。また、一部の会員については、病院がCOVID-19への対応を優先しているため、[HIV]ウイルス量の検査や性的健康サービスの利用が困難になっているという。
「とにかく必要なのは、人々が信頼性の高い発信元からの情報を得ることだ」と彼女は言う。
パンデミックが続くなかでバンダ氏が力を入れているのは、会員が自らの健康を維持する方法について信頼できる医療情報にアクセスできるようにすることだ。
「個人防護具を会員に配布するとともに、HIVと新型コロナウイルスについての啓発を進めている」と彼女は言う。
こうした取組みもロックダウンによる制約により困難になっているが、パンデミックが続くなかで、戸別訪問やオンラインでのチャット、電話も同グループによる支援プログラムの一角を占めるようになっている。
ブランタイアの啓発活動家で「全国若年HIV陽性者協会」の設立者でもある前出のングルベ氏は、直接会うことを恐れる会員と連絡を取るため、メッセージアプリ「ワッツアップ」を活用している。
バンダ氏と同様、彼女も、恐怖やHIV陽性者に対する偏見に立ち向かうには知識こそが鍵だと話している。
「こうした危険な誤解と戦うために必要なのは市民教育だ」
(翻訳:エァクレーレン)
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