東証、全銘柄の取引を終日停止で社長「責任痛感」 2日再開へ準備
東京証券取引所で1日、システム障害が発生し、全銘柄が終日売買停止となった。システム障害による全銘柄の取引停止は2005年11月以来。終日売買停止は、全面的に電子システムでの取引が行われるようになった1999年5月以降で初めてとなる。写真は東証内の株価ボード。(2020年 ロイター/ISSEI KATO)
東京証券取引所は1日夜、終日停止した株式の売買を2日から通常通り再開すると発表した。システム障害による全銘柄の取引停止は2005年11月以来。売買を終日停止したのは、全面的に電子システムでの取引が行われるようになった1999年5月以降で初めてとなる。東証の宮原幸一郎社長は記者会見で「責任を痛感している」と謝罪した。
ハードの故障が原因、大証は稼働
東証によると、原因は株式取引システムの「アローヘッド」を構成する機器の故障で、不正アクセスの可能性はないとしている。東証はハードの障害が起こった機器からバックアップへの切り替わりが正常に行われなかったことによって相場情報が配信できなくなったと説明。本日中に故障した機器を交換し、取引システムが正常に稼働していることを確認をしたうえで、2日に市場を再開する。
障害の原因については、基幹システムを開発した富士通6702.Tと共同で調査を行っている。故障した機器の特定はされているが、システム障害の根本原因は究明中。宮原社長は、富士通はあくまでも機器のベンダーであり「市場運営者としての責任は全面的にわれわれにある」と述べ、現時点で富士通に損賠賠償を行わない考えを示した。
同じシステムを使う札幌、名古屋、福岡の各証券取引所も全銘柄の売買を終日停止した。一方、先物取引が中心の大阪取引所は稼働しており、日経平均先物12月限は前日比130円高の2万3310円で取引を終えた。
対応に追われる証券会社、立会内の売買停止までの注文は引き継がれず
市場では「先物が動いているので市場参加者は比較的冷静のようだ。日経平均先物は米株先物に連動して上昇している。売買が再開しても大きく売られることはないのではないか」(みずほ証券の調査部シニアテクニカルアナリスト、三浦豊氏)との声が出ていた。
一方、各証券会社は対応に追われた。野村証券は午前の段階で、注文は受け付けているが、「取引所の今後の発表によっては売買が成立しない可能性がある旨を説明した上で、受注している」としていた。