中国当局に海上拘束された香港デモ参加者 家族に残された手紙に記された想いは
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ウォン・ワイインさんの妻は、夫からの短い別れの手紙を読み、最悪の事態を恐れた。写真は香港での記者会見に臨む、ウォンさんの妻(中央)ら拘束された12人の家族・親族。12日撮影(2020年 ロイター/Tyrone Siu)
ウォン・ワイインさんの妻は、夫からの短い別れの手紙を読み、最悪の事態を恐れた。
「長年、私と一緒にいてくれて、申し訳ないとともに感謝している」 自宅のデスクで発見された手書きのメモには、そう書いてあった。「もうあなたたちと一緒にいることができない──どうか元気でいてください」
失業中の船舶修理工である30歳のウォンさんは、昨年香港を揺るがせた抗議行動への参加をめぐって刑事訴追を受けていた。妻と母親宛てに残されたメッセージは、ノートから破り取られたページに走り書きされていた。
彼は、粗末な家の修理をしないまま去ることを詫びていた。「あいかわらず家の屋根を修理する時間が取れない。でも、そのチャンスはもう訪れないかもしれない」と彼は書いている。
ウォンさんの妻と母親は、彼が自殺したのではないかと心配して必死に捜し始めた、とロイターに語った。
だが、2人がウォンさんの置き手紙を読んだ頃、彼はすでに中国当局に拘束されていた。その前夜、抗議行動を理由とする起訴を免れようとして他の活動家11人とともにボートで台湾に脱出する試みは失敗に終わった。
「夫がまだ生きていると聞いて、勇気づけられた」とウォンさんの妻は言う。彼女は夫の置き手紙の一部を記者に教えてくれた。手紙は警察に証拠として押収され、その後は何の説明もないという。ロイターは捜査について香港警察に問い合わせたが、回答は得られていない。
「でも、すぐにとても心配になってきた」とウォンさんの妻は言う。夫が中国本土で拘置されていることを知り、公正な処遇を受けていないのではないかと恐れたからだ。悪夢にうなされて起きてしまうことも多い、と彼女は言う。センシティブな状況ゆえに、彼女も母親もフルネームを明かさないよう求めている。
失敗した台湾への脱出
16歳の若者を含め、中国で拘置されている12人の活動家の一部の家族は、9月12日、身元を隠すためにマスクとフードを着用して記者会見に臨んだ。香港立法会議員2人に付き添われた家族らは、中国当局に対し、逮捕者が家族に連絡すること、外部の弁護士による代理を受けることを認めるよう嘆願した。