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日本政治もう一つの総裁選の闘い 女性宰相への遠い道のり、日本の政治はいまも男の世界
菅義偉官房長官が終始リードして終わった14日の自民党総裁選、今回も壇上に女性議員の姿はなかった。過去、事実上の首相を決めるこの選挙に立候補した自民党の女性議員は小池百合子・現都知事のみ。出馬に意欲を示していた野田聖子元総務相も、稲田朋美幹事長代行も、最終的に手を挙げることはなかった。写真は防衛相当時の稲田氏(右)。ペイン豪国防相(当時)と会談。2017年4月、東京で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)
菅義偉官房長官が終始リードして終わった14日の自民党総裁選、今回も壇上に女性議員の姿はなかった。過去、事実上の首相を決めるこの選挙に立候補した自民党の女性議員は小池百合子・現都知事のみ。出馬に意欲を示していた野田聖子元総務相も、稲田朋美幹事長代行も、最終的に手を挙げることはなかった。
天井は開いているが
野田氏が今回の総裁選への出馬を見送ったのは、安倍晋三首相の体調不良による辞任を受けた突然の出来事だったこと、正規の選出手続きが踏まれなかったことが理由だった。
だが、野田氏は過去2回の総裁選も出馬に意欲を示しながら立候補しなかった。ネックになっているのは、推薦人の確保など、男性が作り上げた既存の制度だけではない。女性がハードルになることも少なくない。
「天井は開いているんだけど、足を引っ張る人たちがいっぱいいる。ときにスカートはいた女の人たちも」──。ロイターの取材に応じた野田氏は、ガラスの天井を感じるかという質問にこう答えた。
50歳で生んだ障害を持つ子供がいる野田氏に対し、ネット上では批判が絶えないという。「障害を持った子どもがいるのなら子育てに専念しなさい」、「あなたが政治をやっているのはおかしい」。
野田氏は「(天井に)ぶつかっているというよりは、昇っていく途中で引きずり降ろされている感じ」と語った。
野田氏を始めとする女性議員や学者らの長年に渡る努力によって、2018年5月に「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が施行された。この法律は、各政党に衆参および地方議会選挙において「男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指す」よう促している。
三浦まり・上智大学法学部教授は、ここ数年で社会の意識が変化してきたとみる。保守派の安倍晋三首相が女性の活用を看板として掲げたことが、1つのきっかけになったと指摘する。「ジェンダー(問題)が主流化し、政策のど真ん中」になったと、三浦教授は指摘する。
それもで、2019年7月の参議院選挙で自民党の女性候補者の割合は15%を下回った。法律で目指すゴールは遠い。
コロナ対応で女性が活躍した国
「日本の場合、女性がいない民主主義と言われるくらい政治の世界に女性が少ない」と、自民党の稲田朋美幹事長代行はロイターに語った。稲田氏も、今回の総裁選に立候補することを締め切り直前まで模索していた。しかし、所属する党内最大派閥の細田派は菅氏への支持を決めた。
稲田氏は「まだまだ日本には政治は男がやるものという意識が大きい。女性が大挙して同じ意見を言うと、感情的だとか、良い意見を言っていても割り引いてとられているなと感じる」と述べた。
列国議会同盟の調査(2020年8月)によると、日本の国会(衆院)での女性議員の割合は9.9%と193カ国中167位。世界の平均は25.2%だった。一方、新型コロナへの対策では、ニュージーランドや台湾、ドイツで女性リーダーの活躍が目立つ。上智大の三浦教授は、実際に女性議員が他の先進国並みに増えるには20年はかかると見る。
もし首相になったら何をしたいか。野田氏は「閣僚の半分を女性にする。民間の女性も活用し、まず見た目を変えること。そこからまず始められるかな」と即答した。
(宮崎亜巳)
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