水にひそむ「脳を食べるアメーバ」で少年が死亡
Two Boys in U.S. Die From Brain Eating Amoeba
脳を食べるアメーバ、フォーラーネグレリア(学名ネグレリア・フォーレリ)の3Dイラスト。 Dr_Microbe-iStock.
<湖やプールなどの淡水に棲み、鼻から入って脳を餌にするアメーバがまた出現。アメリカで少年2人が犠牲になった>
アメリカで2人の少年が脳を食べるアメーバに感染して死亡した。テキサス州のジョサイア・マッキンタイア(6歳)は発症の約1週間後に亡くなり、フロリダ州のタナー・レイク・ウォール(13歳)は、湖で泳いだ日から数日後に死亡。湖でアメーバに感染したとみられている。
この2人の死亡に先立って、インドの屋内プールで泳いだ後、同じアメーバに感染して死亡した44歳の男性の例がニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)で報告されていた。この症例を発表したのは、サンタクララバレー医療センターの医師だが、診断と治療がどこで行われたかは明らかではない。
3人の死の原因となったのは、フォーラーネグレリア(学名ネグレリア・フォーレリ)というアメーバだ。
フォーラーネグレリアは、湖、川、温泉などの淡水でよく見られる単細胞生物だ。また水の塩素消毒が十分ではないプールや、汚染された水道水にも生息していることがある。
このアメーバは通常、鼻から人体に侵入する。そして脳に到達すると、原発性アメーバ性髄膜脳炎を引き起こす。これは中枢神経系の病気であり、脳とその周辺に炎症を引き起こし、破壊する。患者はたいていの場合、感染から5日後に死亡する。
患者の反応がおかしい
原発性アメーバ性髄膜脳炎は非常にまれな病気だ。米疾病管理予防センター(CDC)の2018年の報告書は、アメリカにおけるフォーラーネグレリアの死者数は年間16人程度と推定する。
44歳の男性は救急病院に到着した時点で、激しい咳に苦しみ、意識は混濁していた。症状は救急搬送される前日から現れていた。そしてその5日前に泳いでいたことが明らかになった。
体温は39.8度、心拍数は毎分120に上がっていた。報告によれば「質問に答えることはできず、目を刺すような素振りをしてもまばたきをしなかった。だが脳幹の反射は保たれており、痛みを伴う刺激を与えると、腕と足をひっこめようとした」。
当初、男性には細菌性髄膜炎の抗生物質が投与された。熱は少し下がったが、意識障害は改善しなかった。さらなる検査で、フォーラーネグレリアの感染が明らかになった。報告によればそれは、「生存の記録はまれで、たいていは死に至る」感染症だ。男性は病院搬送から5日後に死亡した。
<参考記事>人間の脳を食べるアメーバに感染、米サーファーが死亡
<参考記事>「脳を食べるアメーバ」北上中?