最新記事

感染症

水にひそむ「脳を食べるアメーバ」で少年が死亡

Two Boys in U.S. Die From Brain Eating Amoeba

2020年9月14日(月)16時50分
ハナ・オズボーン

地元テレビ局のニュース番組に出演したフロリダ州のタナーの両親は、息子は病気になる数日前にノースフロリダのキャンプ場にある湖で泳いだことを明らかにした。少年は吐き気を訴え、嘔吐、頭痛、首のこわばりに苦しんだ。医師は当初、連鎖球菌性咽頭炎と診断した。両親は診断に異議を唱え、息子を別の医療施設に連れて行った。少年は人工呼吸器につながれた。その後、脳を食べるアメーバ、フォーラーネグレリアの感染症と診断された。

「医師はこう言った。『申し訳ありませんが、息子さんは細菌性髄膜炎ではありません。アメーバの感染で、治療法はありません』」と、父親のトラビス・ウォールは番組で語った。

やがてタナーの脳は活動を止め、生命維持装置を外された。

テキサス州ヒューストンに住むジョサイアは9月の初めに病気になり、吐き気と発熱に苦しんだ。母親のマリアによれば、医師は当初、ウイルス感染と考えていたが、のちに脳を食べるアメーバの感染だということがわかった。「息子が助かるチャンスはほとんどなかった。でもなんとか助かってほしかった。でも、しかたがない」と、マリアは地元テレビ局の番組で語った。「とても辛かった」

CDCによると、フォーラーネグレリアの感染は一般的に死亡率が非常に高く、北米で知られている生存者は5人しかいない。

水温上昇で北上か

今年初め、アメリカでフォーラーネグレリアの分布が広がっているという報道があった。CDCの疫学者ジョナサン・ヨーダーは、追跡を開始して最初の数十年は、このアメーバはアメリカ南部でしか発見されなかった、とニュースサイト・インサイダーに語った。「ところが過去10年間で、これまでまったく症例の報告がなかったインディアナ州、ミネソタ州、ミズーリ州のような北部の州でもこのアメーバによる感染症例が特定されている」

「北部の州で水温が上昇を続けるならば、北部でも水に入る場合のリスクが高まるのではないかという懸念がある」

(翻訳:栗原紀子)

【話題の記事】
【動画】タランチュラが鳥を頭から食べる衝撃映像とメカニズム
ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死
中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?
中国ステルス機2機が中印国境に到着、空中戦準備の可能性も

20200922issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月22日号(9月15日発売)は「誤解だらけの米中新冷戦」特集。「金持ち」中国との対立はソ連との冷戦とは違う。米中関係史で読み解く新冷戦の本質。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米フォード、第1四半期米販売9%減 高額車敬遠され

ワールド

ロシアへ経済訪問団派遣を計画との報道、「事実ではな

ビジネス

原油高に伴うインフレを懸念、「不運なタイミング」=

ビジネス

米ブルー・アウル、傘下2ファンドの引き出し制限 請
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 2
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受給年齢」
  • 3
    破産申請の理由の4割以上が「関税コスト」...トランプ関税が米国民に与える「破産」の苦しみ
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 6
    日本の男女の賃金格差は世界でも突出して大きい
  • 7
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 8
    先進国が出生数の減少を嘆く必要はない? 「経済的…
  • 9
    「一般市民に敵意なし」...イラン大統領が米国民宛て…
  • 10
    200年前の沈没記録が裏付けられた...捕鯨船を海の藻…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中