コロナ対策、EU離脱......ジョンソン政権の命運を決する「Dデー」
Boris Johnson’s D-Day
11月にジョンソンを待ち受ける課題は、このほかにもたくさんある。気候変動対策を求めるデモが続くなか、11月4日にはアメリカが気候変動に関する「パリ協定」から正式に離脱する。
それに、11月に入ればクリスマス商戦が始まる。今年のクリスマス商戦がどれくらい盛り上がるかは、小売業の売り上げがコロナ以前の水準に戻っているかどうかを映し出す試金石になる。
こうした試練の数々は戦場での戦いとは異なるが、11月1日がジョンソンの首相としての命運を決する重要な転換点であることは間違いない。今後10年以上首相の座にとどまり続けられるか、それとももっと早く辞任するなり、職を追われるなりするかが決まると言っても過言ではない。
ジョンソンがチャーチル的指導者を目指すのであれば、第2次大戦期のチャーチルと同様の考え方で眼前の政治課題に向き合う必要がある。
チャーチルは、1940年にこう語っている。「どんなに型破りに思えるアイデアにも、冷静さを保ちつつ、目を向けるべきである」
ジョンソンがいま必要としているのも、イギリスが傑出した結果を得るために有効な型破りなアイデアだ。
<本誌2020年9月22日号掲載>
【関連記事】イギリス人の対コロナ意識を変えた2つの出来事
【関連記事】「チャーチルは人種差別主義者」イギリスを救った名宰相がなぜ今、やり玉にあげられる?
9月22日号(9月15日発売)は「誤解だらけの米中新冷戦」特集。「金持ち」中国との対立はソ連との冷戦とは違う。米中関係史で読み解く新冷戦の本質。