最新記事

映画

韓国映画界に変革の波? ジェンダー差別のない優秀10作品を政府と監督協会が選定

2020年9月22日(火)17時19分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

北海道の小樽でも撮影が行われた『ユンヒへ』は、20年以上会っていない初恋の女性から母への手紙が届き、それを知った娘が母親と共に日本へ会いに行くストーリーである。韓国では珍しい女性同士のクィア映画であり、さらに中年女性同士の愛情をフィーチャーした点はかなり話題となった。

公開後からすぐに話題となった『フランスの女』は、観客動員数1万人を超えると成功と言われる韓国インディーズ映画業界において1週間でそれを達成し注目を集めた。

不倫によって壊れていく2つの家庭を描いた、俳優キム・ユンソクの監督デビュー作『미성년(未成年)』は、キム・ユンソクが父親役で出演し、彼お得意のシリアスな中にユーモラスな演技を見せている。

ほかには、スポーツを通して女性を描くのは、134キロの速球を投げる優秀な投手でありながら、女性というだけでプロ野球選手になれない苦悩を描いた『野球少女』。公務員試験に何度も挑戦するも失敗し続けてきた31歳の女性がランナーと出会い、韓国のキャリア社会や年齢に縛られず、自分の理想を見つけていく物語『아워 바디(Our Body)』。

家庭の問題を解決すべく立ち上がった3人の女の子の話『我が家』。ファンタジーコメディー要素を多く含みながらある女性プロデューサーの生活を淡々と綴る『チャンシルは福も多いね』。大阪アジアン映画祭2019で公開された理不尽コメディ『메기(なまず)』が選ばれている。

10作品中7作品が女性監督

以上10作品が今回選定された作品なのだが、特徴としては女性の人生や生き方にフォーカスを当てている点があげられる。また、監督が10作品中7作品で女性という点も注目されるところだ。

筆者が韓国で就職した2社目の会社は映画の制作会社だった。多くの映画を企画し制作していく中で、当時から現場では「韓国映画は女性が主人公の映画は少ない」「俳優は足りないけど女優は余っている」と言われてきた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中