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米中対立

トランプTikTok禁止令とTikTokの正体

2020年8月10日(月)08時15分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

日本のアニメはかつて中国の若者の心を鷲掴みにし、海賊版がその普及に貢献した。中国政府は若者の精神文化を侵害するとして躍起になって中国国産のアニメ制作に力を入れ始めた(『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』で詳述)。

もし中国政府が意図的にその逆襲をしているとしたらどうだろうか?

他愛もない動画をユーザーに自由に配信させアメリカだけでなく世界の若者の心を鷲掴みにしている。そこにわずかに「それとは気が付かない」微妙な要素を入れていけば、宣教師がキリスト教を広めたり、英語を公用語とすることによって英語圏の国々が力を持つようになったように、凄まじい「中国の文化力」が「知らない間に」世界に浸透する。

まつげの美容を披露する在米ウイグル人が美容の合間に中国政府によるウイグル弾圧のセリフを入れたら、すぐに削除したではないか。

その動画は日本語でこちらでも、あるいはこちらでも観ることができる。アメリカのユーザーからの批判を受けTikTokは慌てて削除を取り消したが、その取り消した理由も何とも怪しげだ。

このようなことを考えるのはCCTVでの扱い方に不自然さを覚えたからである。

もし張一鳴が親米のあまり売国奴とさえ罵られているのなら、なぜ中国はここまでの大々的な抗議声明を出したのか?

もし中国政府が敢えて「顔芸」を仕込んでいるとしたら、中国の強さは尋常ではない。世界は危険な領域に達している。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。


中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』(実業之日本社、8月初旬出版)、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

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