習近平訪韓予定の狙いはむしろ日本
しかし、国際機関において「議決」という形での再度の意思表明が迫られる可能性を秘めている。国際社会においては、国力の大小にかかわらず、「一国一票」の重みは同じだ。
4月19日のコラム<トランプ「WHO拠出金停止」、習近平「高笑い」――アフターコロナの世界新秩序を狙う中国>に書いたように、中国がいま狙っているのは、国際社会における意思表示なのである。
遠くはデジタル人民元の実現――そのために必要な日中韓自由貿易協定
2019年11月5日のコラム<習近平「ブロックチェーンとデジタル人民元」国家戦略の本気度>で触れたように、習近平は10月24日、中国共産党中央委員会(中共中央)政治局第十八回集団学習という会議で、「ブロックチェーンを核心的技術の自主的なイノベーションの突破口と位置づけ、ブロックチェーン技術と産業イノベーション発展の推進を加速させよ」と述べた。
そして今年5月の両会(全人代+全国政治協商会議)における「ブロックチェーン」や「デジタル人民元」に関する提案は、2019年の両会の時に比べて75%も増えている。
中国問題グローバル研究所(GRICI)の中国側代表の孫賢明教授は2019年7月18日発表の論考「米中貿易戦争における人民元の台頭」で人民元の国際化とデジタル人民元に関して以下のように、中国がまずは「アジア元」体系の形成を目指すだろうことを早くも予言している。
――短期的な目標は、香港ドルとニュー台湾ドルを内部的に統合し、「中華圏人民元」を作り出す。中期目標は、日本の円と大韓民国のウォンなどアジア国家と協力し、「アジア元」体系を作り上げ、世界通貨体系における米ドル・ユーロ・アジア元の「三つ鼎(がなえ)」体制を確立させる。最終的な目標は、理想的な、各国の総合経済力及び貿易額に基づく、デジタルの、非中央集権的または非ソブリンな世界通貨を確立させることである。
まさに、孫教授の予測通り、今年5月21日、両会の中の全国政治協商会議委員が「クロスボーダーなデジタルステーブルコインの香港における開発に関する提案」(以下、「提案」)を行っている。