最新記事

韓国社会

韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる

2020年8月11日(火)21時05分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

芸能人からの仕事の依頼も多いという人気スタイリストのハン・へヨンだったが、そこで取り上げていたのはPPL=ステマだった…… 슈스스TV / YouTube

<日本なら「所詮ユーチューブだから」で終わるかもしれないことも、韓国では容赦ない批判を受けて大炎上に......>

近頃、日本では多くの芸能人がユーチューバー・デビューを果たしている。今年4月には吉本興業が、多くのユーチューバーが所属する大手企業UUUMと業務提携を締結した。今後さらなる芸能人ユーチューバーが誕生していくとみられている。もちろん、お隣の国、韓国でも同じ状況は起こっており、アイドルやタレントが続々と自分のチャンネルを開設して人気を集めている。

しかし、そうなるとユーチューブ内で数々の問題が発生し始める。特に最近の韓国ユーチューブ界を賑わせているのが「PPL広告問題」だ。PPL(Product PLacement)とは、広告用語でテレビや映画の作品の中で、さりげなく商品を写すことで消費者に認知をさせる手法のことだ。韓国では地上波放送の番組内で商品名を表示することは原則禁止されており、日本よりも広告について規制が厳しい。その影響もあってPPLについても視聴者の目は厳しい。そのためユーチューブのPPLの場合、企業やブランドから実際には商品やお金をもらっているのにも関わらず、あたかも自分が好きで買った愛用品のように紹介することが多い。

ユーチューバーの収入源は「案件」

ユーチューバーたちの主な収入源は広告収入だが、ある程度の収入を得るためにはかなりの再生回数を稼ぐ必要がある。そのため、人気のあるユーチューバーは広告収入よりも企業からのタイアップの方が収入が多く、日本のユーチューバーはよく「案件」と呼んでいる。

もちろん、PPLであることを表示したうえで、動画を配信する分には問題が無いのだが、そうでないことが発覚したとたん大炎上に繋がってしまう。以前、日本でも芸能人がブログで"ステマ"(ステルスマーケティング)をし、炎上したことがあったが、韓国でのPPL問題は日本の"ステマ"と同じような意味で使われている。

最近韓国で人気のあった2つの芸能人ユーチューブチャンネルが、韓国のネットメディアDispatchから「視聴者をあざむく形でPPLを行っている」と指摘されて大炎上を起こした。1つは、ファッション系のTV番組によく出演し、タレント活動もしている人気スタイリスト、ハン・へヨン氏のユーチューブチャンネル「シューススTV」だ。

スタイリストが教えるコーディネートのヒントや、新しく出来たショップやブランドの新作紹介などで構成され、登録者数86万人を超える人気チャンネルだったのだが、ファッション業界のブランドや商品を扱っており以前からPPL問題が疑われていた。


【話題の記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見
・韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット 一方で「TPOをわきまえろ」と論争に

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ボールは中国側に、米はディールの必要なし 貿易交渉

ワールド

イラン最高指導者、米との協議「楽観も悲観もせず」 

ワールド

エーザイの認知症薬レカネマブ、EU「厳しい」条件付

ビジネス

米輸入物価、3月は‐0.1% エネルギー価格低下で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ印がある」説が話題...「インディゴチルドレン?」
  • 4
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 5
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 7
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    そんなにむしって大丈夫? 昼寝中の猫から毛を「引…
  • 10
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中