トランプがすがる大統領選延期説 バー司法長官は「法的に可能か検討したこともない」
延期の提案は「負けない」ための作戦? CARLOS BARRIA-REUTERS
<コロナ感染を防いで予定通り選挙を行うための郵便投票を「大量の不正を生む」と非難するトランプだが、複数の州ではこれまでにも郵便による不在者投票が実施されてきた>
トランプ米大統領は、今年11月3日に予定されている大統領選挙を延期したいらしい。7月30日、(新型コロナの感染防止策として)「郵便投票となれば2020年は史上最も間違いと不正だらけの選挙が行われることになる」とツイートし、延期を呼び掛けた。
トランプはこれまでにも郵便投票は大量の不正を生むと発言してきたが、その主張に根拠はない。トランプ自身も就任以来、郵便による不在者投票を行ってきており、郵便投票は複数の州で既に実施されてきた。トランプは郵便投票と不在者投票は大きく異なるとしているが、選挙制度の専門家によれば両者に本質的な違いはないという。
一方、バー司法長官はこのツイートに先立ち、大統領が選挙の日程を変更することが法的に可能かを「検討したこともない」と米議会で述べた。
現在、トランプは世論調査で民主党候補バイデン前副大統領に水をあけられている。選挙を延期すれば情勢は変わる......のか?
<2020年8月11日/18日号掲載>
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