最新記事

SNS

フェイスブック広告ボイコット運動は失敗? ザッカーバーグの資産はついに1000億ドル超え

Facebook Ad Boycott Has Failed, and Mark Zuckerberg Is Richer Than Ever

2020年8月13日(木)16時10分
メーガン・ルース

コロナ禍やボイコット運動にもかかわらずフェイスブックの広告収益は伸びている Dado Ruvic(Illustration)-REUTERS

<TikTokに対抗する動画投稿サービスの開始で、フェイスブック株は急上昇>

人種差別的な投稿を放置するフェイスブックに改善を迫る広告ボイコット運動は7月31日に終了したが、その1週間後、同社の創業者でCEOのマーク・ザッカーバーグの個人資産は1000億ドルの大台を超えた。

「ストップ・ヘイト・フォー・プロフィット(ヘイトを営利に利用するな)」を掲げて広告ボイコット運動が始まったのは今年6月。黒人男性ジョージ・フロイドが白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件をきっかけに、BLM(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命も大事)運動のうねりが全米に広がっているさなかだった。

フェイスブック上では「憎悪に満ちたコンテンツの横に、企業の広告が表示されている」と、広告ボイコットを主導した運動団体は指摘。フェイスブックに10項目の改善点を突き付け、広告主に7月末までフェイスブックへの広告出稿を見合わせるよう呼びかけた。

ボーイング、ジャンスポーツ、ベライゾンなど大手企業が続々とボイコット参加を表明。中小企業も合わせて1100社を超える企業と100を超える非営利組織が一時的にフェイスブックへの広告出稿を取りやめた。マーケティング調査会社パスマティックスによると、2020年上半期にフェイスブック上の広告に費やした予算ではディズニーが第1位だ。その最大の広告主ディズニーでさえ、ボイコット期間中はフェイスブックへの広告出稿を大幅に減らした。

世界第3位の富豪の座をキープ

フェイスブックは7月末に発表した第2四半期(4月~6月)の決算で、ボイコット運動の影響を認めたものの、主力の広告事業は増収を達成できたと報告。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)にあっても、ここ数カ月業績は順調に伸びており、第3四半期も引き続き成長を見込んでいる。

ボイコット運動が正式に終了した5日後、フェイスブック傘下のインスタグラムが新機能Reels(リールズ)のサービスを開始した。これはTikTok(ティックトック)と同様、15秒の動画を簡単に作成して投稿できる機能だ。

TikTokユーザーをつかめるとの期待感から、フェイスブックの株価は急上昇。ザッカーバーグの個人資産はついに1000億ドルのラインを突破した。このラインを超えるのはこれで3人目だ。ザッカーバーグは今年に入って、同じIT業界の大物であるアマゾンのジェフ・ベゾスCEOとマイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツに次いで、ブルームバーグの世界長者番付で第3位にランクインしたが、広告ボイコットもこの格付けには影響を与えなかったようだ。

<関連記事:米大統領選とコロナ禍で、ゆがんだニュースをばらまく怪しいサイトが横行中

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ビットコインが10万ドルに迫る、トランプ次期米政権

ビジネス

シタデル創業者グリフィン氏、少数株売却に前向き I

ワールド

米SEC委員長が来年1月に退任へ 功績評価の一方で

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦争を警告 米が緊張激化と非難
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中