最新記事

SNS

フェイスブック広告ボイコット運動は失敗? ザッカーバーグの資産はついに1000億ドル超え

Facebook Ad Boycott Has Failed, and Mark Zuckerberg Is Richer Than Ever

2020年8月13日(木)16時10分
メーガン・ルース

広告ボイコットが「フェイスブックの収益に打撃を与えるなどとは思っていなかった。ただ、彼らの良心に訴える効果はあると考えていた」と、運動を率いた組織の1つ「名誉毀損防止連盟(ADL)」のジョナサン・グリーンブラットCEOは本誌に語った。「フェイスブックの売上高が増えたと聞いても驚かない。われわれとしては、ヘイトを利用して稼ぐのをやめるよう、引き続き働きかけていくだけだ」

ボイコット期間は終了したが、運動のおかげで主要メディアもフェイスブックに人種差別や憎悪をあおる投稿が多々あることに注目し、大手ブランドが一時的にせよフェイスブックへの広告出稿を取りやめた。それにもかかわらず8月11日に発表された運動団体の総括によれば、フェイスブックの対応ははかばかしくない。10項目の改善要求のうち、6項目については何の対応も取っておらず、残り4項目も対応を検討し始めた段階にすぎない。

運動団体はホームページ上でフェイスブックに今後も改善を求めると表明し、ボイコットに参加した企業に引き続き広告出稿を見合わせるよう呼びかけている。総括は厳しい内容となったが、7月末に出された報道用資料を見ると、一定の成果はあったようだ。7月中は何百万ドルもの広告収入の流入が止まる事態となり、フェイスブックの経営陣は運動団体との話し合いで、社内に調査チームを設置し、問題のある投稿を削除するなど一部の要求を受け入れた。

粘り強く改善を求める

「フェイスブック(に投稿される差別的なコンテンツ)が社会の少数派と健全な民主主義にいかに深刻なダメージを与えているか。われわれの運動がきっかけになって、多くの人々が気づき、これまでにない規模の検証が始まった」と、グリーンブラットは言う。

今回の広告ボイコットは「威嚇射撃」にすぎないと、運動団体は報道用資料で述べている。「フェイスブックが(ヘイト投稿の)ダメージを軽減するために常識的な対応を取るまで、われわれはこの運動をさらに拡大し、より幅広い層を巻き込んでいく」

今もフェイスブックへの広告出稿を見合わせている企業は少なくないと、グリーンブラットは言う。「広告ボイコットはアメリカだけでなく、ヨーロッパなど他の地域にも広がり始めている。フェイスブックが改善に応じなければ、今後もボイコットやその他の運動を行う予定だ。多くの広告主がその際には参加するとはっきり約束している」

<関連記事:米大統領選とコロナ禍で、ゆがんだニュースをばらまく怪しいサイトが横行中

【話題の記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


2020081118issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
楽天ブックスに飛びます

2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中