フェイスブック広告ボイコット運動は失敗? ザッカーバーグの資産はついに1000億ドル超え
Facebook Ad Boycott Has Failed, and Mark Zuckerberg Is Richer Than Ever
コロナ禍やボイコット運動にもかかわらずフェイスブックの広告収益は伸びている Dado Ruvic(Illustration)-REUTERS
<TikTokに対抗する動画投稿サービスの開始で、フェイスブック株は急上昇>
人種差別的な投稿を放置するフェイスブックに改善を迫る広告ボイコット運動は7月31日に終了したが、その1週間後、同社の創業者でCEOのマーク・ザッカーバーグの個人資産は1000億ドルの大台を超えた。
「ストップ・ヘイト・フォー・プロフィット(ヘイトを営利に利用するな)」を掲げて広告ボイコット運動が始まったのは今年6月。黒人男性ジョージ・フロイドが白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件をきっかけに、BLM(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命も大事)運動のうねりが全米に広がっているさなかだった。
フェイスブック上では「憎悪に満ちたコンテンツの横に、企業の広告が表示されている」と、広告ボイコットを主導した運動団体は指摘。フェイスブックに10項目の改善点を突き付け、広告主に7月末までフェイスブックへの広告出稿を見合わせるよう呼びかけた。
ボーイング、ジャンスポーツ、ベライゾンなど大手企業が続々とボイコット参加を表明。中小企業も合わせて1100社を超える企業と100を超える非営利組織が一時的にフェイスブックへの広告出稿を取りやめた。マーケティング調査会社パスマティックスによると、2020年上半期にフェイスブック上の広告に費やした予算ではディズニーが第1位だ。その最大の広告主ディズニーでさえ、ボイコット期間中はフェイスブックへの広告出稿を大幅に減らした。
世界第3位の富豪の座をキープ
フェイスブックは7月末に発表した第2四半期(4月~6月)の決算で、ボイコット運動の影響を認めたものの、主力の広告事業は増収を達成できたと報告。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)にあっても、ここ数カ月業績は順調に伸びており、第3四半期も引き続き成長を見込んでいる。
ボイコット運動が正式に終了した5日後、フェイスブック傘下のインスタグラムが新機能Reels(リールズ)のサービスを開始した。これはTikTok(ティックトック)と同様、15秒の動画を簡単に作成して投稿できる機能だ。
TikTokユーザーをつかめるとの期待感から、フェイスブックの株価は急上昇。ザッカーバーグの個人資産はついに1000億ドルのラインを突破した。このラインを超えるのはこれで3人目だ。ザッカーバーグは今年に入って、同じIT業界の大物であるアマゾンのジェフ・ベゾスCEOとマイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツに次いで、ブルームバーグの世界長者番付で第3位にランクインしたが、広告ボイコットもこの格付けには影響を与えなかったようだ。