最新記事

欧州

スペイン、フランス、ドイツに感染第2波? 非常事態解除が仇  

Europe Fears Coronavirus Second Wave Amid Spikes in Spain, France, Germany

2020年7月28日(火)16時55分
スー・キム

バルセロナのビーチには大勢の人が(7月19日撮影) REUTERS/Nacho Doce/File Photo

<スペイン・フランス・ドイツで新たな感染者が再び増加しており英政府は帰国者の自主隔離義務づけも>

ヨーロッパでは、スペイン、フランスとドイツで再び新型コロナウイルスの感染者が急増していることを受けて、ヨーロッパに感染拡大の第2波が訪れつつあるのではないかという懸念が浮上している。欧州疾病予防管理センターの報告によれば、7月27日の時点で新型コロナウイルスの感染者や欧州連合(EU)、欧州経済領域(EEA)とイギリスを合わせて167万5022人に上っている。

スペイン

7月18~24日の1週間で、スペインでは新たに1万2039人の感染が報告された。統計サイト「ワールドメーター」によれば、前週の感染者数(6347人)から90%近い増加だ。

感染者が急増し始めたのは7月上旬。6月21日に非常事態宣言を解除し、国境封鎖・入国規制の段階的な解除を始めてから約2週間後だ。

感染者が多く報告されているのが、バルセロナがある北東部のカタルーニャ州で、同州では全てのナイトクラブに2週間の閉鎖命令が出された。またAP通信によれば、感染者が急増しているバルセロナや同州西部のリェイダと周辺の自治体には、外出禁止令が出されている。ニュースサイトのザ・ローカルによれば、南東部のムルシア州でも、テラス席のない全てのクラブに閉鎖命令が出された。

「安全な渡航先」リストから外れる

スペインでは複数の地域で公共の場でのマスク着用が義務づけられており、カタルーニャ州では17日から、バルセロナを含む複数の地域の住民に外出の自粛を求めている。

スペインでの感染者急増を受けて、イギリス政府は25日、イギリス人の間で人気の休暇先でもあるスペインを「安全な渡航先」のリストから外し、スペインから入国する全ての人に14日間の自主隔離を義務づけた。

だがスペインのアランチャ・ゴンザレス・ラジャ外相は26日、報道陣に対して「スペインは国民にとっても旅行者にとっても安全な場所だ」と強調。ロイター通信によれば彼女は、バレアレス諸島とカナリー諸島はイギリスよりも感染者が少ないと主張し、これらの地域を自主隔離リストから除外するようイギリス側に求めていくと語った。

フランス

7月18~24日の1週間で、フランスでは新たに5854人の感染が報告された。ワールドメーターによれば、前週から50%近く増加した。

AP通信によれば、フランスの保健当局は、1人の感染者が平均何人に感染させるかを示す「R値(実効再生産数=1人の感染者が平均で何人に感染させるかの値」が1.3に上昇したことを認めている。複数の保健当局者は、以前に比べて感染者が自主隔離を怠りがちになっていると報じられていることに触れ、「ロックダウン解除後の数週間で達成した成果の多くが帳消しにされてしまった」と語った。

<関連記事>東京都、28日の新型コロナウイルス新規感染266人 2日ぶりで再び200人台に
<関連記事>「検査と隔離」もウイルス第2波は止められない 米専門家

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ショルツ独首相、2期目出馬へ ピストリウス国防相が

ワールド

米共和強硬派ゲーツ氏、司法長官の指名辞退 買春疑惑

ビジネス

車載電池のスウェーデン・ノースボルト、米で破産申請

ビジネス

自動車大手、トランプ氏にEV税控除維持と自動運転促
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中