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感染症対策新型コロナ対策でトランプ政権内の亀裂深化、会見再開も対立の種
米ホワイトハウス内部で、新型コロナウイルス感染の大流行への対処方法を巡る意見の相違が、内輪もめと緊張に拍車を掛けている。写真は国立アレルギー研究所のファウチ所長(左)、新型コロナ対策チームのバークス調整官(左から2番目)。ホワイトハウスで4月22日撮影(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)
米ホワイトハウス内部で、新型コロナウイルス感染の大流行への対処方法を巡る意見の相違が、内輪もめと緊張に拍車を掛けている。新型コロナ死者数が増加しトランプ大統領の支持率が下がっているにもかかわらず、そうした事態が問題への取り組みを妨げている。
政権関係者によると、政権の新型コロナ対策チームの医師ら、とりわけ特にバークス調整官は、感染拡大についての警告が無視されていることにいら立ち、さらに、国立アレルギー研究所の高名な感染症専門家であるファウチ所長が面目をつぶされて、名誉を傷つけられていることに動揺している。
トランプ大統領はこのほど、戦略変更の合図を送り始めた。トランプ氏が米大統領選挙の民主党候補指名を確実にしているバイデン前米副大統領に支持率調査で差を広げられているのは、大部分が大統領の新型コロナ対応に有権者が不満なためだ。
これまで何か月も公的な場でマスク着用を渋ってきたトランプ氏だったが、20日、ツイッターにマスク姿の写真を投稿し、さらに新型コロナについての定例会見を再開するつもりだと表明した。
21日に開いた再開第1号の会見では、他人との距離を保てないときはマスクを着用してほしいと国民に呼び掛けた。「マスクを好きでも嫌いでも、マスクは効果がある。われわれはできることは何でもやる必要がある」と語った。
定例会見再開を決定する前、政権内部では今年3月に大統領執務室を動かす実権を握ったメドウズ大統領首席補佐官と、その他のメンバー、特にペンス副大統領のチームとの間で、国民に新型コロナ関連の情報を発信する戦略での激しい対立があった。
メドウズ氏は対策チームの会見の抑制を主張した。その結果、会見はホワイトハウスでは行われなくなり、開催もごくたまになり、大統領も参加しなくなった。トランプ氏が経済再開や再選への取り組みを強めることに専念しようとする中、「話題」を新型コロナから変える必要があったからだ。
トランプ氏は4月下旬までは新型コロナで定例会見をしていたが、治療には消毒液の注射が有効だなどとした一連の発言の失敗を受け、中断していた。
しかしトランプ氏が今回再開を決めたのは、コンウェイ大統領顧問から大統領の支持率は春に定例会見をしていたころの方が高かったとの指摘を受けたことや、ミラー選対幹部の後押しもあった。政権内の他の高官も再開に賛成した。ある高官は、政権内に意見の相違があったことを念頭に「今は全員一致している」と述べて見せた。
しかし、関係者らによると、各州の経済再開指針を策定してきた医師らは現状の感染者数の増大に懸念を強めている。自分たちの助言が留意されないことにいらだつ向きもあるという。
消息筋によると、バークス調整官は最近、テキサス、ニューメキシコ。アリゾナ、フロリダ、ルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ、ジョージア、さらにはサウスカロライナの各州を回った。このうちの数州は今や感染の一大流行地になっている。訪問した州の多くは彼女の提言した指針を導入したはずの州だ。
医師らはまた、ファウチ所長に対する扱いぶりにうろたえている。ファウチ氏はトランプ氏やメドウズ氏やナバロ大統領補佐官を含むホワイトハウス首脳陣から激しく攻撃されている。対策チームのある高官は「われわれは米国の公衆衛生のため最善を尽くそうとしているだけだ」と語り、「ファウチ氏の身に起きていることは、ショックだという以外に表現が浮かばない」と訴える。
トランプ氏の21日の会見に同席する医師の姿はまったくなかった。
関係者によると、マスク問題の扱いを巡っては、カドロー国家経済会議委員長が着用を強く提唱した。トランプ大統領の長女イバンカ大統領補佐官やメラニア大統領夫人も着用を擁護しているとされる。
しかし、政権内の最大の意見対立はつまるところ、メドウズ氏の仲間と、コロナ対策チームを監督するペンス副大統領の周囲との確執にある。関係者によると、メドウズ氏側は対策チームが行動を起こさないとしていら立っている。
対策チームは外部助言役としてメドウズ氏らも呼び、会合にオブザーバー参加させていたという。そのメドウズ氏側の不満ぶりに、別のホワイトハウスの関係者は「ばかげている」と一蹴した。
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