前回選挙で成功した「集会戦術」に執着するトランプ 世論と合わず「空回り」
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11月の米大統領選に向けて、トランプ氏は支持率の低下や幾つもの国家的な危機に直面しながらも、誇張的で乱暴な言い回しを駆使する集会を相変わらず選挙戦の主な手段としている。写真は6月20日、オクラホマ州タルサで撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)
11月の米大統領選に向けて、トランプ氏は支持率の低下や幾つもの国家的な危機に直面しながらも、誇張的で乱暴な言い回しを駆使する集会を相変わらず選挙戦の主な手段としている。だが2016年の前回選挙後に、米国では多くの状況が変わったのだ。
米国では新型コロナウイルス感染症の死者が13万人を超え、感染対策としてロックダウン(封鎖)が実施された結果、経済は奈落の底に沈んだ。また5月に黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件をきっかけに、人種差別や警察の暴力に対する抗議デモが全米に広がった。トランプ氏はこれらの事態にうまく対処できていない。
それでもトランプ氏は、独立記念日前夜の3日にサウスダコタ州ラシュモア山の国立記念碑のふもとで行った集会に出席した7500人が、全米的な抗議デモ参加者を批判する同氏を強く支持したことに気分を良くしたもようだ。あるアドバイザーは、同氏が帰りの大統領専用機の中で、側近らにこうしたイベントをもっと開催して、メッセージを伝えて回りたいと語ったと明らかにした。
ただトランプ氏陣営は10日、ニューハンプシャー州で11日夜に予定していた集会の延期を発表した。同州は16年の選挙で民主党候補のヒラリー・クリントン氏に敗れた激戦区。ホワイトハウスは、熱帯暴風雨の接近を理由に挙げたが、雨は11日午後までに州内のほとんどの地域で上がるとの予想が出ていた。
これに先立ち、6月にオクラホマ州タルサで開いたトランプ氏の集会では、空席が目立っていた。また地元の公衆衛生当局者は8日、この集会は同州の新型コロナ新規感染者数増加につながった公算が大きいと指摘していた。
共和党内でも、トランプ氏が強固な支持層にばかり堂々とアピールする姿勢は、穏健派や無党派層を離反させ、民主党の候補指名を確定させているバイデン前副大統領に11月の本選で大敗しかねないと心配する声が出ている。
しかし、複数の関係者によると、トランプ氏は自身の直感に従い、周囲の助言を受け付けない。先のアドバイザーによると、「怒り狂った暴徒」と「過激な左派」と対決する態度こそが有権者に有効なのだ、とトランプ氏は確信している。前回の勝利につながった「法と秩序」「米国第一」「無法状態の阻止」といったキーワードに回帰したがっているという。
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